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54 食卓へ四人で


「それじゃあ行こうか」

 父と母が並んで先を歩き、私とアクトがそれについて行く。

「「「「……………」」」」

 誰も話し出さなかった………。

 誰も話し出さなかったので、今まで気になったことを聞いてみることにした。


「使用人とかは雇ったりしないんですか?」

 前を向いていた二人がすごいスピードでこちらを向く。

「敬語なんて使わないでくれ!僕に敬語を使ってもらえる資格は無いんだ!」

「そうよ。普通にアクトに話すように話してくれると嬉しいわ?もし、それがソンサさんの罰というのならば、もちろん受け入れるけれど」

「はっ!そういう事か!?僕はなんてバカなんだ……。すまない!それならば全然!全く!構わない!どんどん罰を与えてくれ!」

「ち、ちち、ちがい、いやえっと、違うの!そんなつもりなくて!」

 お父さんは言葉の勢いがすごいし、お義母さんは、なんか圧がすごい。だけど、不愉快になる感じではない。ないけど、大人二人に詰め寄られると少し怖い。えっとタメ?タメ口でいいのかな。

「えっと、私、記憶喪失だから。あんまりお父さんとお義母さん感がなくて……」

 あ、やばい間違ったかも。と思ったのは、お父さんの顔がみるみる曇っていったから。

「そうだった………」

「……………」

 お母さんは、無言で立ちつくしている。食卓へ歩いていたのに、ちょっとした世間話のつもりだったのに、えらいことになってしまった。

 これから、アクトが大変な話をするのに、変に悲しませてしまったかもしれない。焦ってアクトの方を見る。目が合う。あったと思ったらアクトは堪えきれないというようにぷっと吹き出した後、話し出した。

「母さんも義父さんも、ねえさんの近くでそんな悲しい顔しないで。ねえさんが気にしてる」

「あ、すまない」

「え、あ。ごめんなさい…」

「僕じゃなくて、ねえさんに」

「すまない。ソンサ。色々なことを考えられていなかった」

「ごめんなさいね。ソンサさん。知らない大人にグイグイこられたら怖かったわよね」

「あぁ、いや。私は全然、大丈夫で、大丈夫だよ!」

 ごめん。アクトぉ。フォローさせてしまった。目が合う。笑った。

「ねえさんは、記憶喪失の前と何も変わってないから大丈夫。少し話したら、何も無かったように自然と話せるようになるよ」

 ちなみに記憶喪失前の記憶はロクが補完してくれるらしい。今の私の感じで幼少期を作ってくれるみたい。

「だから、そんなとこで立ちつくしてないで?ねえさんの質問に答えてあげてくれる?難しかったら僕が話すけど」

 何からなにまでごめんね。自分で言えばよかったね。お父さんがアクトを見る。意識が戻ってきたようだった。

「いや、大丈夫だ。僕が話そう。ありがとう。アクトくん」

「いえいえ」

「ねぇアクト」

「なぁに?母さん」

「今の貴方も、私、とても好きよ」

 …………え?

 目が勝手に思いっきり開いた。言葉が出なかった。頭にハテナが連続で並んでいく。突然すぎるよお義母さん……。え?なんて。

 いやでも確かに?アクトは自然体そのもので話せていたけれど…。

 じんわりと心に言葉が拡がっていく。

 そんな今のアクトも!も!私、とても!好き!よ!!

 ってお義母さまが仰ってくださった!!!

 なんてことだ……。す、素晴らしい言葉をお義母さまがアクトにかけたのだ。たった今!

 心の中でしっかりガッツポーズをした!

 その言葉は今のアクトに必要な言葉。それもアクトの実のお母さんが言ってくれるのも熱すぎる。話す前に目標達成できた感がある。

 よかった。本当によかった。とりあえず今のアクトは拒絶されていない。なんなら、好き。自分の事のように嬉しい。これなら安心して話せそう。

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