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52 電話をかける



 アクトがお兄ちゃんに電話をかけた。ものすごくハキハキしていて、とてもさっきまであんなに泣いていた子供には思えなかった。

 お兄ちゃんは、驚いていたけど、すぐに連絡を取ると言ってくれたそうで、本当にあっという間に、折り返しの電話があった。

「義父さんと母さん、夜に帰ってくるって」

 ご飯は済ませておいてってさ。アクトは結構平然としていた。私は緊張で胸が張り裂けそうなのに。

「一緒に図書室行こっ」

「うん」と、咄嗟に返した。返したけれど、よ、予行練習としなくていいの?なんかこう打ち合わせとかしなくて大丈夫?と、言ってみたかった。

 もはやウキウキしているようさえに見えるアクトには、言えなかったけど。



 本を読んでいると、時間はあっという間にすぎるもの。


 一緒に夜ご飯を食べて、食卓に本を持ってきて、二人で読んでいたら、鍵の開く音と、「「ただいま」」声が聞こえた。

 ついにか。と思った。本の内容なんて、実は全然頭に入ってこなかった。私が言い始めたのだけど、私が言い始めたからこそ、自分の予想と違ったらどうしようとか、アクトが拒絶されたらどうしようとか考えてしまう。そんな思考はまた顔に出ていたらしい。

「行こっ」

 優しくこちらを見たかと思えばしっかり手を繋がれた。そのまま引きずられるように玄関に向かう。


 しっかりドキドキして、緊張とか色々吹っ飛んだ。ついでに、どうやってアクトをサポートしようかと考えていたのも吹っ飛んだ。

「大丈夫だって、ただ隣にいてくれたらいいから」

「う、ん」

 もはや中の人が変わったのかと思うほどの頼りになりっぷりにこれまた色んな意味でドキドキ……うん。なんかドキドキしていたら、玄関についていた。


 靴を脱いで、服の汚れを落としている姿。大人って、こんなに背が高かったんだ。

「おかえり」

「あっ、おかえり」

 この家に人が入ってくるのは久しぶりだから、おかえりというのも少しぎこちなくなってしまった。

 靴を脱ぎかけながら、二人は同時にふりかえって、心底幸せそうな顔でもういちど

「「ただいま」」と言った。

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