49 話す
アクトはまさしく、心に決めたという顔をした。
「母さんと義父さん、どちらもの前で話すよ。今の僕の家族だし。…兄さんは母さんに話してから、一緒に決める」
絶対ねえさんも、隣にいてね?と、すがるように言われた。うん。素だって十分すぎるくらい、アクトはかわいい。もちろんと返した。
「あぁでも、僕が自分の口て言うから、ねえさんは隣で一緒に聞いててよ」
そうすることも、一つの、アクトなりの区切りになるはずだと思うから。もちろんと返した。
「母さんも義父さんもいい人だし、信じてるけど」
突然目が逸れる。
「もし何かあったら、僕のこと守って」
決断するのが早かったから、大丈夫なのかと思ったけど、やっぱり不安だったみたい。そんな中それでも頑張ろうとするアクトが愛おしくて堪らなくなり、応援するべく、勢いよく、もちろんと返した。
母と父には、兄に連絡してもらわねば会えない。「あんまり引き伸ばしても、言いたくなくなるから」と、言うアクトにご飯を食べてから連絡しようと提案した。
アクトは疲れきった顔をしていた。話している時は身体中に力が入っていたのだと思う、今はその力がすっかり抜け切っている様子で、今にも膝から崩れ落ちそうに見えた。
一旦座って、お茶を飲んで、ゆっくり休んだ方がいい。そうして、二人でご飯を食べよう。お腹に食べ物をいれるのは、何時だって大事だ。
雨の日は嫌い。食卓に向かう途中アクトはポツポツと言った。「雨の日は、あの日のことが嫌でも頭によぎるから」と。
それならば、上書きしてやろうじゃないか。と思った。アクトの嫌な思い出を消すことは難しいかもしれない。
しれないけど、雨の日に一緒に楽しい思い出も思い出せるように。雨の日の楽しい思い出を一緒につくりたい!と思った。思ったのだけれど…。雨の日にしかできないこと……。なかなかこれだというのが思い浮かばなかった。結局、食卓についてしまったので、一旦保留にすることにした。
「今日はハンバーグにしない?」
「そうしよう」
ふわふわしている感じで、用意する方へ向かっていたので、いつもの席。私の横に座らせる。
「ちょっとここで休んでな。今日くらい全部、私にまかせて」
アクトはこちらが驚くほど素直に「ありがとう。お願い」と言った。
今までずっと隠してきたことを話すというのはどんな気分なのだろう?分からないけど、今の私はアクトが喜ぶことをしてあげたくて仕方がなかった。




