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47 大分


「アクトがそれを無理だと思うのは…。アクトの根っこの方に、お父さんのことがあるからだと思う。お兄さんや、お義母さんに言うのが難しいなら、私のお父さんにだけでも言ってみない?」

 私には、一つの予感があった。アクトの心を救える予感。

 アクトは渋い顔をしていた。

「もちろん。言いたくないなら、いいんだけど。アクトは今、話してみて、どうだった?」

 忘れるな。優先すべきは、アクトの気持ち。これは絶対に忘れてはいけないこと。

「だいぶ、らくになったよ。ようやく誰かに話せたんだって、頑張ったねって、あなたは悪くないよって。ずっと、ずっと、言っては…もらいたかったから」

 アクトの言葉を一つ一つ噛み締めながら聞く。考える。言葉を間違えないように、気をつけて、それでも自信があるように、話す。

「それなら良かった。私で良ければ、望まれる限り、何度でも言うよ。何度言ったって足りないくらいだと思ってる。でも、『だいぶ』なんだよね?」

 ハッとした顔。

「多分なんだけど、完全には取れてないんだよね、アクトの心のわだかまり。間違っているなら全然いいの。でもさ。まだ苦しいんじゃない?仮面を被ることも、まだアクトにとっては無理をすること。なんじゃないかな?」

 目を、そらさないで、逃げた視線の先へ行く。

「アクト。私はさ、アクトのお父さんが出ていったのは、アクトのせいじゃないと思ってる」

 形ではお父さんが出ていったとしても。

「お父さんがアクトの元から去ったんじゃなくて、アクトたちがお父さんの元から去ったんだと思うんだ」


「ねぇアクト、アクトにとっては優しくて素敵なお父さんだったのかもしれない。でもさ、お母さんにとってはどうだっただろう?」


 幼いアクトにとっては、突然の出来事だったのだろう。大好きだった父親に最低最悪と言う言葉でも足りないくらい酷い言葉を吐かれたのだ。トラウマにもなっているみたいだし、人格形成に支障が出るレベルて引きずっているのもよく理解できる。

 

 アクトのお母さんは、どうだろう?

 そうだな。一旦、アクトの父親の話を丸々信じて、いつも通〜りに過ごしていた旦那さんが、突然家を出ていったという話で考えるなら。結婚して、家庭がしっかりそこにあったのだから。引き止めたり、追いかけたり?色々考えることは出来る。引きずっていても何もおかしくは無い。

 でも、引きずっているようにはとても見えない。

 アクトの話だと、アクトと話した二日後には、父親は居なくなったとの事だった。あまりにも早い。母とあまり揉めていないように感じる。

 なにより、これが一番の理由なんだけど、あまりにも私のお父さんとの再婚が早くないか?アクトのお母さんの家は貴族なのだし、生活に困ったとも思えない。

 私には、旦那への未練が、微塵も感じられない。

 旦那が出ていくことへの疑問が、無かったように思えるのだ。

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