38 毎日は過ぎ行くもの
毎日は過ぎ行くもの。
アクトに、一日一回質問をして、答えてもらったそれを紙に鉛筆でメモする。
お昼と夜に一緒にご飯を食べて、空いた時間は一緒に本を読み、夜が深くなったら部屋に戻って寝る。
少し困ったことがあった。
はっきり言うと、毎日がただの日常だった。
特になんの変化もない日々がしっかりと、淡々とコツコツと積み重なっていた。
強いて言うならば、時々幽霊さんに会いに行っては、懲りないね〜と呆れられつつもお話を楽しんだりもした。
でも、本当にそれくらいしかやることがなかった。
家の二階は入れなかった。そう。入れなかった。
兄と母と父の部屋があるはずなのに、本当になんかよく分からないのだけど、入ろうとしてドアを押しても引いてもどうにも動かなかった。
思いつく全てを試してもダメだった。
とにかく入れないようになっていた。
ならば外に出てみようとすると、こちらのドアも、引いても押してもビクともしない。
アクトが言うには一ヶ月耐えるしかないね。とのことだった。
諦めた。
正直に言うと、天国(図書館)と天使(弟)が居なければ、やっていけなかった。
スマホもねぇテレビもねぇパソコンもなきゃ、ゲーム機もねぇ…。外にも出れないし、話す相手も二人だけ…。なんなら片方は幽霊です……。
刺激が圧倒的に足りなかった。
それでも、天国と天使は偉大で。
図書館で借りる本を読むことと、アクトと話すことで何とか楽しく毎日を過ごすことはできていた。
まぁそれはそれとして、置いておけても。
困ったことはもう一つあった。
アクトのトラブルが、わからないのだ。
できれば、家族が帰るまでにはアクトの攻略が完了出来ていると、兄の攻略に移れるので、熱い。だがしかし。
グイグイ行くと、照れはする。
照れはするけど、底が見えない。
本当に、アクトが、欲しい言葉が分からない。ピンポイントで欲しい言葉をアクトにかけられていない自信があった。
一応質問は全てメモしてある。
メモを見返す。分かったことはそこそこある。
アクトはしっかりと意志を持っていて、素というか、仮面の奥に自分がしっかりあるということ。
好きなことはある。やっていて楽しいことも、得意なこともある。メモにのっている。
ただ、嫌いなことや楽しくないこと、苦手なことはメモにのっていない。
アクトはそういうことを聞くと、途端に悩み始めるのだ。
初めは…。言いたくないのだと思った。話していて気持ちのいい内容でもなければ、弱みになってしまうこともありそうな内容だし。そもそも、親しくなりきれていない姉に話せることではなかったかもしれない。と。
だがある日、アクトはしっかりと言った。
「分からない」
と。




