35 いいよ
泣いている弟、どうしますか?
▷頭を撫でる
▷抱きしめる
▶どっちもやる
三番目一択だった。思いっきりぎゅうとだきしめた。頭をなるべく優しく無でる。
「ごめん。ねえさん。ほんとうにごめん」
「いいんだよ〜。大丈夫だよ〜。私の方こそごめんね」
「ねえさっ……いいよ」
ねえさんは何も悪くない。と言いたそうだったけど。トントンにしよ。アクトが傷ついたことは事実なんだし。と思いながら見ていたら、飲み込んでくれた。
アクトは恐らく不安でいっぱいだったのだと思う。
素、らしきものを見せていた時。アクトのお兄さんは、ものすごく驚いていた。と共に、すぐに理解もしていた。素は、最初からあったアクトで。何かきっかけがあって、『無理をすることになった』『仮面を被ることになった』のだと思う。
仮面被るということは、恐らく。恐らくではあるけど、元の自分である素のアクトを誰かに拒絶されたのだと思う。
今回アクトが嫌がったのは『世界を救うために』自分と仲良くしようとしていたこと。(正確には本当にそんなつもりはなかったけども、アクトにそう思わせてしまった私もとても良くなかった)
これもまた恐らくだけど。自分という素のアクトを見て欲しかったのに、世界を救うという『目的』越しにしか自分を見ていないように感じたのかも。しれない。気がする。
まぁとにかく、アクトはこれ。
絶対私と仲良くしてくれる気あるのが、本当によかった。マジで。
そしてこれ。うん。多分これは、アクトは私の事結構すきだと見た。
そしてまた私だって、さっきはいた言葉は全部真実だし、アクトのこともう結構好きだな。
なんてアクトのあたたかさを感じながら考えている今の状況に少し頭が混乱しかけた。
まぁ!何はともあれ!1時はどうなるかとも思ったけど、何とかなって、本当によかったぁ。
これで仲直り。なんなら、地面も固まりそう。アクトは全然泣き止まないけど。
「アクト?大丈夫?」
心配になってきた私は下から顔をのぞき込む。
ぱっちりしたお目目と目が合った。
うん。泣いてないね。さっきから静かだとは思ってなかったけど……。な、なぜに?
「だってっ、泣いていたら、ずっと抱きしめてくれるのかなってっ」
え?抱きついていだけってこと?なんだろう、安心するとか?
いや、違う。
こやつ。照れてる。
どういうことだ。素で可愛くって、照れているのか、それとも、仮面か。
……わかんないなこれ。
「顔見つめるだけじゃなくてなんとか言ってくれない?」
あれ、素のやつだ。わっかんなっい。だめだ。さっき考察してちょっとはアクトのことわかったかなと思ったけど、全然まだまだみたい。
まぁまだね。出会って数日だし、これからゆっくりじっくりコトコト煮込んでやるんだ!ハンバーグみたいにね!!
「……?」
あ、ちがう。ちがう。…えっと、
「別にさ、泣いてなくても抱きしめてあげるよ。いくらでもいつでも」
「……!?」
はっはぁ〜ん。こういうのは得意じゃないんだなぁ?
照れていらっしゃる。盛大に。詳しく言うと顔を真っ赤にして、後ろに一方下がってる。
抱きしめるのってあんま顔見えないから、こう、なんとかなるよね。
あってる?こういうので、私の悪役令嬢知識はフル活用するから!全然グイグイ行くから私!人類と初恋がかかってるから!
「いいぞもっとやれ」
ロクの声が聞こえたので、もっとやります。
「ねぇ、抱きしめられるの好きなの?」
「…………!?!?」
おっと、 相変わらず真っ赤なお顔で、三歩下がっているけれど、もうすぐ壁だよ?
この時私はとても調子に乗ったのですが、
「それとも、わ」
「ここ、ぼくのへや!」
「わっ」
いきなり手首を掴まれて、なんも無いところから急に出てきた部屋に連れ込まれたのでした。




