34 『ごめん』
「なんで、いなくなっちゃったの?」
とねえさんに言われて、すぐに、言わないとと思った。
「言いずらかったらいいんだよ」
言いたくなった。この優しい人なら大丈夫だろうと、信じた。
「ねえさんが僕と仲良くしようとするのは世界を救うためなんだって、気づいて悲しくなったの」
否定して
否定して
否定して
心の中で願いながら言った。
ねえさんは、優しい顔でこう言った。
「私はアクトの無理して可愛くなっちゃう所とか、朝キラキラした顔で起こしに来てくれて、ご飯も完璧に用意してくれてるところとか」
い、やなのかとおもったけど。
「今みたいなすっごい可愛いところとかが」
窓から差し込む光に照らされた姉さんの顔は明らかに照れていた。
「気になって、気になって、アクトのことをもっと知りたいなって思ったの、仲良くなりたいなって」
じんわりと暖かな感情が心の中に広がっていく。
「だからそれは違うよ。アクトが美少年だから、世界を救いたいからだけじゃなくて、アクトに魅力が詰まりまくっているから仲良くなりたいの」
……顔だけじゃなかった。
顔がいいなら誰でもいいんだって、そう。
ねえさんは僕のことなんにも知らなくて、だから誰でもいいんだと思って、世界を救うために近くにいた顔がいい僕にって。
思って。だから嫌だったんだ。けど。
顔がいいからだけじゃなくて、僕に、
僕じゃなくてぼくの性格に、惹かれてくれたと思っていい?
ぼくに魅力が詰まりまくって…………るって言ってくれてるんだよ……ね。ねえさんは。
あははっぼくってほんと
おおばか。
あぁ、ほんとにばかだった。
だって僕はこんなにもねえさんに惹かれてる。人の事好きになるのに、ねえさんのことを隅々まで知っているだとか知らないだとか、一緒に居た時間の長さとか…関係ないんだって自分だって分かっているのに。
一緒に居て、本当のぼくをすくいあげて、無理しなくていいって言ってくれたねえさんのことが好きになったように。
ねえさんも僕の行動から好きを見つけて、興味を持ってくれて、ただ質問してくれただけだったのに。
どうしよう。じぶんがばかすぎて嫌になってきた…。
だって人と素で話すの久しぶりだし、慣れてないし、あぁ言い訳。
世界を救いたいからじゃなくてぼくにみ……ミリョクガツマリマクッテルカラ
すごい言葉を真正面から目を見て言って貰えたことをようやく認識して体があつくなってきた。
あ〜〜、すきだな〜と思った。
そんでもって、やっぱり。ぼくがばかなせいでごめん。とも思った。




