↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男女比1:4のジェンダーレス  作者: エカルラトラ
13/16

フィットネスクラブで

 今日は、転校してから初めての休みだ。

俺は前に出歩いた時に見かけたフィットネスクラブへ向かっている。

学校とは違う方向だが比較的近い。

フィットネスクラブに行こうと思い立ったのは、体力不足を感じたからだ。

体育で疲れて果てているなんて、どれだけ虚弱なんだよ。

 フィットネスクラブへ到着したら受付へ行く。

受付のメニューボードには一般¥8000、学生割引で¥4000と書いてある。

少し高い様な気がするがマシントレーニングの他に水泳もできる様だからそんなものか。


 「こんにちは、ここを利用したいのですが、どうしたらいいでしょうか」


 美人でスレンダーなお姉さんが対応してくれた。


 「会員登録していただければそれでOKです。利用時間は朝10時から夕方10時までで、年中無休です」


 「判りました、よろしくお願いします。それで、学校の体操服と室内運動靴を持ってきてますが、今からでも利用できますか?」


 「大丈夫ですよ。それでは、身分証を読取機の上にお願いします。」


 身分証を乗せると機械で何やらやっている。

一通り終わったのか質問された。


 「お客様は、城南高校の学生様でよろしいでしょうか」


 おお、個人情報がばれている。


 「はい、そうです。」


 ガクブルしながら答えると


 「大丈夫ですよ。表面的なことしか判りませんから。」


 「どんなことが判るんですか」


 「はい、当フィットネスクラブを利用に当たって確認事項であることを申し上げますと、山本純様 今は城南高校に通っておられている。

最近、国立総合病院にかかっておられて体調面、精神面は健康だが現在記憶喪失状態である、ということですね」


 ひええ、いろいろばれているじゃないか、個人情報保護法はないのか?。

あれ?今は城南高校って、じゃあ前はどうなのかな。


 「じゃあ、前に通っていた高校ってわかりますか」


 「いえ、それは判りません。当フィットネスには必要なことではございませんので。

それでは、お手続き致しますね。

山本様は男性で学生様ですので男性半額割引と学生半額割引、それに通院されているので、健康増進法での補助が¥1000あります」


 なるほど、フィットネスクラブで必要な情報しか読み取れないわけか。それにしても男性割引って・・・それと最後のはなんだ?。


 「あのぅ、健康増進法での補助ってなんですか」


 「それは、健康増進法という法律がありまして、運動による記憶喪失改善の為の補助で、記憶喪失の判定から1年間です」 


 おお、それはありがたい。そうすると一般の8分の1か、お得だね。


 「会員登録が終了しました」


 なるほど、ここでも身分証が会員証を兼ねているのか。


 「今回はご案内いたしますが、次回からのご利用の際はゲート横のセンサーに身分証をタッチし、ゲートが開きましたら奥へお進みください。それではご案内いたします」


 ちょっと気になって聞いてみた。


 「このゲート、身分証をタッチせずに、前の人に続いて入ったらどうなりますか?」


 「その場合は警報音が鳴り、警備員が飛んできます。」


 それは怖い、冗談でもやらない様にしよう。

そんなことを考えながら受付のお姉さんに続いてゲートを通った。

ゲートの先にロッカールームがある。


 「こちらが更衣室です。更衣室もセンサーに身分証をかざしてロックを解除して入ってください。ここは前の人に続いてはいっても大丈夫です。室内にはロッカーがありますからセンサーに身分証をタッチしロック解除してご使用ください」


 全部センサータッチなんだな。

更衣室に入ってみると誰もいなかった。

俺はロックが掛かっていないロッカーを確認して上着とズボンを脱いだ。


 「体操服を着て来たんですか?」


 こちらを見ながら受付のお姉さんが聞いてきた。

まだ居たんかい、俺には凝視されながら着替える趣味はない、ていうかなんでそこにいるんだよ。

 ひとりごちながらロッカーにカバンや着てきた服などを入れてロックする。


 「着替えは持って来ましたので帰りにはちゃんと着替えますよ」


 「はあ、そうですか。」


 なんで残念そうなんだよ。


 「当フィットネスでは必ず更衣室を通り抜けるようになっております。それと運動用の服と室内用靴を着用する決まりです。決まりを守っていただくようお願いいたします。」


 まあ決まりを守るのが当然だから異存はない。


 「そして廊下に出ましたら左側にシャワールームがあります」


 説明を受けながら、廊下に出るときにちょうど中年女性たちが入ってきた。

ガヤガヤとやかましい。いやそうじゃなく、なんで女性が入ってくるんだよ?


 「あの、すみません、ちょっとお尋ねしたいんですが、俺が案内された更衣室にさっき女性が入ってきましたけど、男女分かれていないのですか?」


 「はい、分かれておりません。それが普通です。でも高級フィットネスクラブだと分かれていますよ。一人ずつの更衣室になっていますけど。でもこの街にはありませんね。電車で5駅行ったところにあります。そちらへ行かれます?」


 「いえ、ここでいいです」


 そうか、そうですか、更衣室が男女分かれていないのは普通のことなのか。

この世界の男性諸君は聖人君子ばかりなのか。

俺のリビドー持つかな。

そうだシャワー室はどうなんだろう?それも聞きたい、けどそれを聞くと変人扱いされるのではなかろうか?


 「もしもし?よろしいでしょうか?よろしければ次にご案内いたします」


 「あっ、はい、お願いします」


 「では、この先に進んでいただくと・・・」


 「あ、ももこさん、受付はどうしたんですか。持ち場を離れたらいけないでしょう」


 「はい、新会員様をご案内しておりました。山本様、こちらはインストラクターの井上です。この先はトレーニングルームとなっておりますので、インストラクターにお聞きになってください。では失礼いたします」


 あっにげた。でもまあ俺には被害が無いからいいか。それよりも案内を頼むとしよう。


 「それでは案内をお願いします。ところでここってプールもあるんでしょう?」


 「はい、プールはシャワールーム奥の階段を上がった2階となります。プールをご使用の際は、シャワールーム内の各シャワー室で軽く汗や汚れを落とし着替えをロッカーに入れてから2階に上がってくださいね」


 「えっ、それってマシントレーニングでもシャワー室の個室で着替えてもいいんですか」


 「はい、そうしていただいて結構です」


 くそぅあのアマ、しばいたろか。おかしいと思ったんだ。更衣室じゃなくてロッカールームって書いてあったし。下手をすると衆人環視の中できがえるとこだったよ。


 「あ、でも、マシントレーニングの人は着替えるのを面倒がって室内靴だけ持ってくる人や、ロッカールームで着替えてしまう人もおられます」


 「えっ?ロッカールームで着替えていいのですか?男女別になってないですよね」


 「はい、大丈夫です。特に苦情もありませんし」


 いいのかよ、じゃあ着替えるところは様子見ということで。


 「それじゃあトレーニングルーム行きましょう」


 トレーニングルームではいろいろなマシンがあってどれも軽く一通りやったみた、頑張ると明日の筋肉痛が怖いからな。

 ルームランナーはガラス張りの壁際で道路に面していたから、道行く人に見られたり、ガラスに張り付いている幼女に見られながら走るのはめっちゃ恥ずかしかったよ。

 そのあと、ほどほどで帰ろうとロッカールームに行ったら、高校生くらいの女子が着替えていたので、何食わぬ顔しながら、俺もそこで着替えた。

 チラチラ見ていたら女子と目が合ってしまった。

しまったどうしようと思ったがその女子はクラスメイトの矢寺めぐみだった。


 「あれ?めぐみちゃんじゃね?君もここの会員なの?」


 「ここはボクのお母さんが経営しているんだよ。それで時々来るんだ」


 「へーそうなのか、俺も今日から会員になったんで、ちょくちょく来ると思うよ。で、めぐみちゃんはこれからなの?」


 「そだよ、これから腕を体の前で合わせるマシンで鍛えて胸のぜい肉を減らすんだー。じゃあね」


 バタフライマシンのことかな?大胸筋が鍛えられてバストアップになると思うんだが言ってやった方がいいかな?だからって戻るのもなんだかなあ。まあ、学校で話せばいいかと考えて家へ帰った。


 その後、このフィットネスクラブは男子高校生の生着替えが見られる場合があると噂になり、会員数がうなぎ上りに増えたのは俺の預かり知らないことだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。