女子たちは~続~
チャイムが鳴った、1時限目のロングホームルームが終わった。
彼が席に座って2時限目の用意をしていると、数人の女子が寄っていく。
まだいろいろ聞きたいようだ。私もすかさずその中に入る。
出身の中学とか、どのあたりに住んでいるのかとか、親とは仲はいいのかなどを聞いている。
好みの女の子の話になったとき、坂口さんがつぶやいたのが聞こえた。
「でも、私みたいなデブは相手にされないんだ」
それはそうだろう、彼女はクラスでも一番胸が大きい、それで男が逃げてしまうから。
「そうか?そんな風には見えないけど、ちょっとそこに立ってゆっくり一回転してみてくれる?」
彼女は素直に席を立つと、そこでゆっくりと一回転をした。私も大きい方だけど彼女はもっと大きい。だめだなこれは。
「全然デブじゃないよ?」
「うそっ、胸にこんなに贅肉がついて、これでデブでないなら何なのよ!こんなデブだから男子に相手されないのに」
「全然デブじゃあない!おなかに贅肉はついていないだろう?。俺は男だから乳は無い、だから女の子の乳は小さくてもあったほうが好きだし、大きければさらに好きだ」
驚いたことに彼は胸が大きい方が好みであるという。これは私にもチャンスある?いや返って有利じゃないかな。
「まずは友達になってくれないかな、周りのみんなも」
「私みたいなのでも良いの?いろいろ噂されちゃうよ」
「大丈夫だよ、それより名前教えてくれるか」
「坂口順子です」
「私は稲田真紀子よ」
「ウチは吉武恭子です」
「ボクは矢寺めぐみだよ」
すかさず私も名乗る。
「友達になってくれてうれしいよ、みんなよろしくな」
うふふ、クラス内で一歩リードしたね。
*****
お昼になって、彼は坂口さんに案内されて食堂へ行った。
私にはやることがある。
「ここにいるみんなに聞いてほしい。
山本君は聖蘭学園から来たけどホモでもゲイでもない普通の、いや、女の子に興味がある男子だと判った。
しかし、このことは他のクラスには内緒にしておきたい。
もし質問されたら「彼、聖蘭学園からの転校生だからねえ、」って言って、悲しそうにため息をついてあげればいいのです。
ほら嘘は言っていないでしょ?そうすれば他のクラスにいらないちょっかいを掛けられることもなくなるわ。どうかしら?」
「「「「「異議なし」」」」」
「それじゃあ名簿を作っておくから、今の話をここにいないクラスメイトにしてちょうだい。話を聞いた人はその名簿にチェック入れること。ここにいるみんなもね」
こうしてクラスをまとめたけれど、胸の小さい娘には悪いが、彼が胸の大きい娘が好みなのは黙っておく。
嘘は言っていない。黙っているだけ。
ああそうだ、あの時集まっていた彼女たちに黙っておくよう言っとかなくちゃ。
一番胸が小さい娘でもクラスでは大きい方だから。
*****
今日、隣の3組に転校生が来るらしい。それも男子という噂だ。
3組は1人いた男子が退学してしまったので、みんな元気がなくて可愛そうだった。
私のクラスには男子が1人いる。女子とは仲良くしているが一部の女の子には態度が冷たい。
その一部の女の子に共通しているのは胸が大きいことだ。
私もその一部に入っている。
それにしてもさっきから3組が騒がしい。やっぱり男子が来たんだろう。
男子がいるのといないのとでは雲泥の差なんだから。
でもそのうちに男子から冷たい眼差しで見られるのだろう。
どこかに胸の大きい女が好きな特殊性癖の男がいないものか。そんな奴いないか。
将来、お金をためて縮胸手術をするんだ。そうすればきっと私だって・・・
お昼になって3組の女子が男子を連れて食堂へ来た。男子は聖蘭学園の学生服を着ている。女に興味が無いアピールだね。
女子はあのクラス一番の乳デブだ、3組の女子は早々に諦めてしまったな。
教室に戻る途中で、他のクラスの女子が3組の女子に質問しているのを聞いてしまった。
3組女子は「彼、聖蘭学園からの転校生だからねえ、」って言って、悲しそうにため息をついていたが、少し口角が上がっているのを見てしまった。
質問している女子は気がつかなかったようだが、私には判る、何か隠している、ほかのクラスには知られたら拙いことなんだろうか。




