幕間-1
幕間回はミナト視点ではないので余計読みにくいかも知れません。
本編に関わりますが、基本飛ばしても問題ないようにしていくつもりです。
そこは小さな島だった。
辺り一面は見渡す限りの水平線で、空には常に大きな雷雲が浮かんでいる。
地図には載っていない……いや、地図から『消された』島には、その島には不釣り合いなほど大きなドームが建てられていた。
『さて、ようやく始まったな』
男の声が巨大なドームに響き渡る。
ドーム内にはたくさんの人がいるが、その声に反応したのは彼の傍らにいる白衣を着た女だけである。
『さっそく、自ら見せしめですか』
『こいつらの立場を分かりやすく理解させるためのパフォーマンスだよ。こういうのは発破をかけないと動かない奴も多いからね』
男は手近にあったガラス容器を叩きながら話す。
容器の中は淡く光る緑の液体で満たされており、そこには1人の青年が入っている。
『しかし、このような物が本当に必要なのかね?』
『事実は小説よりも奇なりですよ。奇っ怪に見えるでしょうが、この装置が必要なんです』
『まるで本当にSF小説の中に入ったみたいだよ』
『彼等はゲームの世界を体験していますけどね』
ガラス容器はドーム中に所狭しと配置されており、それぞれに性別人種年齢もバラバラな人々が入れられている。
ドーム中が緑の光で照らされているのはある種幻想的な光景ではあるが、実際は人間を入れた容器が不気味に発光しているだけなので不安を掻き立てるだけの光景になっている。
『結構結構。彼等にとってイグニスはまさに理想郷。これで大多数は攻略に向けて動いてくれるようになるだろう』
『動かない者もそれなりにいることについては?』
『それも織り込み済みだ。アプローチの方法はいくらでもある。もちろん、キミが嫌がるであろう方法も含めてね』
『……働きアリの法則は知ってますか?』
『愚問だな。これでも人の心理は知り尽くしている自負はある』
『……そうですね。この作戦において私たちは一心同体。失敗が許されないのは重々承知でしたね』
男から溢れる絶対的な自信。それは確かな実力と実績からなるものであることは女が一番知ってることであった。だからこそ、コンビを組んでいるのだから。
だが同時に不安になることもある。なぜなら、女もまた心を掌握され良いように動かされてる可能性があるからだ。
それが十中八九杞憂だというのは解っている。男と女は一心同体。最後までどちらが欠けてもこの作戦は成功しないのだから。
『さぁ、ゆっくりと彼等の動きを観察しようじゃないか。この作戦は過程も大事だからな』
『えぇ、これからですからね』
男の顔を見ても女には何も読み取れない。元々、人の感情を読み取るのが苦手な女だがそれだけではない。
男が意識的に読み取れないように務めているのだ。心を感情を想いを考えを知られることが、自分にプラスに働くことがないと誰よりも知っているが故に。
そして、2人が何を考えていようが物語は紡がれていく。数多の人を巻き込んだ作戦はもう開始されているのだから。
月一ではもう間に合わないなと思いつつ。




