動く的-18
『感想ねぇ……』
「何かあるだろ?妙な動きをしていたとか、攻撃した際の部位による手応えの違いとかさ」
『うーん、いまいち意識してなかったけど、何となくなら?』
『まぁ、どんな情報でもないよりマシでしょ』
『仕方ないか……。じゃあ、どんなだったかは伝えるから、書き込みは任せた』
「いや、何故そうなる!?」
『だって、お前のが慣れてるだろ?』
まぁ、割と頻繁に掲示板を覗きには行くし、雑談スレには気まぐれに交じることもある。ノアやハヤトがあまり頻回に利用しないし、この2人はそういうことは全部俺任せになってるから自然と情報の出入りは俺経由になる。だから慣れてると言われれば確実にそうなのだろうが、だからといって俺が出しゃばるのもなぁ。みんなも、本人の降臨待ちみたいだし。
『ほら、いつまでも待たせない。情報は鮮度が命だろ?』
「俺としては、信憑性を重視したいとこだな」
『そんなもん、オレを信じろとしか言えねえわ』
「知ってる。今のは俺の信条みたいなもんだ。それに、お前がこんな嘘を吐くかどうかくらいは分かるつもりだ」
第一、こいつがこんな嘘を吐いて何の得になるというのだろう。得られるとしてもせいぜい一時の名声だけだ。そんなものに価値があるかどうかぐらい誰でも分かる。
「というか、フォローくらいしてやるからお前が書け。その方が早いだろうが」
『嫌だめんどい』
「これから頻繁にお世話になるだろうから、今のうちに慣れとけっての」
『そんなんオレが使わなくてもミナトに聞けば早いだろ』
『それは確かに』
「いや、お前らな……。それだと常に俺の主観が入ってくるだろ」
『それのどこに問題があるの?』
情報ってのは、多角的に捉えてこそ生かせるものだ。掲示板などで研鑽された情報であっても、それをどう捉えるかは結局本人次第である。
ただ、それを俺が伝えると、少なくとも剥き出しの情報ではなく俺の主観が混じったものになってしまう。例え一言一句同じ言葉を伝えたとしても、俺が拾った情報という色眼鏡がかかってしまうのだ。
それだと、選択肢の幅が狭まってしまう。柔軟な発想の妨げになるのだ。
「ともかく、これを機に慣れるように。大丈夫、ゲーム好きにろくな奴はいないから」
『あぁ、それなら問題ねぇな』
『いや、よく考えて!?普通逆だからね!?』
実際どうなのかは知らんが、少なくとも俺たちがろくでなしの一端を担っているのは事実だろう。だいたい、こんな怪しげなゲームに取り込まれているのだ。
入手方法や抽選確率なんかを考えたらこの世界に入っているやつなんてまずライト層にはあまりいないだろうし、深くなるに連れていろいろおかしい人の比率が高くなるのはどのジャンルでも同じだろうしな。
ただのゲーム好きの善良な市民の皆様は……まぁ後で心の中で謝ろう。少なくともいないわけではないだろうしな。
「ということで、さっさと書き込んどけ」
『へーへー、分かりましたよっと』
『あ、本当に今ので納得したんだ……』




