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付加魔法は自分のために  作者: 仙堂レイ
第二章:十人十色
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動く的-11

毎度遅くなってしまう……これを習慣にしてはならないと思っています。

「なぁ、どうして時折こっちを撃とうとするんだ?」

「……何か、気持ちが抑えられなくて?」

「疑問形なのか……」


 場所は変わって、とある宿屋の一室。部屋に入ったタイミングで、ノアに尋ねてみる。ちなみに、昨日と同じ部屋にまた2人で泊まることになった。

 だって仕方ないだろ。『リバースホープ』はもう閉まってて、換金出来なかったんだから。宿屋の受付の人がこっちを見てニヤけていたように見えたが、気のせいだと思いたい。


「とにかく、当てたりはしないから安心して」

「なら狙うなよ……というか、実際撃ってるよな?」

「……当たらなければいいんだよ」


 実のところ、ノアから数発の銃撃をもらっていたりする。何とか全弾避けはしたが、どれも当たればタダでは済まなかっただろう。


「ちゃんと、避けられる範囲で撃ってるから」

「そういう問題か?」


 それって、俺が気付かなかったらその時点でアウトじゃね?

 というか、そもそも止めようという気は無いのだろうか。


「空に撃つとか駄目なのか?」

「それだと、弾が落ちてきて他の人に当たっちゃうかもしれないでしょ?」

「そういや、そんな事件もあるみたいだなぁ」


 そりゃ、拳銃の弾だっていつまでも進み続けるわけじゃない。上に向かって撃っても、いずれは推進力がなくなって落ちてくる。等速直線運動は、一切抵抗のない真空下でこそ可能な現象だ。

 実際、極稀にだが不運にも頭に拳銃を弾が落ちてきて死んでしまう人もいるようだ。威嚇射撃は、相手の足元を狙うか空砲にでもしておいて欲しいものだな。


「あれ?そういや魔弾って落ちてくるのか?」

「多分、設定は出来ると思うよ」

「じゃあ、そのまま消すことも出来ると」

「どっちも、魔力を込める時に設定しないとだけどね」


 ノア曰く、弾には純粋に魔力を撃ち出すタイプと、1度魔力を圧縮、本来の銃弾のような形状に成形して射出するタイプがあるらしい。威力はもちろん魔弾丸のが上のようだが、圧縮するためにリロードに時間がかかり、また消費量も増えるようだ。

 ちなみに、そのまま撃ち出す方は、距離が離れるほど威力が減衰しそう遠くないところで自然消滅らしい。こちらはさしずめ、極小のレーザーといったとこかな。


「っておい、じゃあ設定次第で普通に空に向けて撃てるじゃねぇか」

「そんなのおもしろくないじゃん。やるなら標的(ターゲット)狙わないと」


 何事も全力で楽しむのがモットーなのは良いが、付き合わされる身にもなって欲しい。何故、遠距離職が自身への誤射の危険を気にかけなければならないんだ。

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