動く的-6
筆が乗ると早いんですけどねぇ。
何にせよ、俺にとってこれはかなりの朗報である。矢の心配が無くなるなら、ようやく弓を思いっきり使えるからな。
「いいのか、俺のためにわざわざ」
「数をこなせば経験値も貯まるし、だいたいはミナトとPT組んで攻略していくことになるだろうしね」
ノアとしても、やはり基本は一緒に行動してくれる気のようだ。こちらとしては大いに歓迎である。
「よし、そういうことだから、いっぱい集めようか」
「いや、その前に敵さんのお出ましのようだぞ?」
様子を伺うようにして現れたのは、一匹のボア。いや、ウリボーもいるな。
2匹はこちらを睨み付けているが、動こうとはしない。あまり戦う気がないのか?
「さて、どうする?」
「まずは、ミナトの戦いぶりを見てみたいな」
「了解。俺もいろいろ試したかったし、ちょうどいい的だな」
弓を手に取り、矢を2本矢筒から取り出す。おっと、あの装備も試さないとな。
「えーっと……《サモン:レッド》」
新たに追加されたアーツを使うと、全身を真っ赤にしたラビットが現れた。おぉ、これが珠で新しく召喚出来るようになったやつか。
「よし、行くぞ。《連射》!」
『ブモォォ!?』
アーツを使い、2本の矢を一瞬で放つ。矢は正確にボアの両眼に突き刺さり、激しく暴れ出した。
「まだ終わらねぇよ?《スプラッシュ》」
のたうち回っているボアに、止めを刺すように水魔法で追い討ちを掛ける。
掌から勢い良く出た水流を食らったボアは、そのまま光の粒子となって消えていった。
ウリボーについては、赤いラビットでそそくさと倒している。いまいち性能差が分からなかったが、まあいいだろう。ちなみに、MPの消費量はやはり通常のサモンより少し増えていた。
「ふぃ〜。まぁ、こんなもんか」
「……う、うーん」
「何だ?どうかしたのか?」
「いや、容赦ないなぁと」
容赦とかする必要もないし、意味もないだろ。むしろ、速攻殺ってやった方が温情である。
いやまぁ、両眼に矢が刺さった状態で暴れてる姿は少し可哀想だったが……。
「と、ともかく、それがミナトの今の力なんだね?」
「そうだな、直接正面から戦ったら、こんな感じになる」
「他にもやり方があるの?」
「まぁ、一応【罠師】もあるからな。ちょうどいいから、それも見せてやるよ」
さっき暴れていた時の鳴き声に反応したのだろう、別のボアがやってきた。今の2匹とは違い、すでに臨戦態勢に入っている。
「やる気満々みたいだし、MPもだいぶ消費しているけど大丈夫?」
「あぁ、さっきの感じなら、今の量でも大丈夫だろ」
悠長に話していると、痺れを切らしたボアが襲いかかってきた。




