動く的-3
寝落……ちてはないんですが、遅くなりました。
「えーっと、一応頼んだのはただのラビットスープだったと思うんですけど?」
「えぇ、そうですが、特別サービスです。遠慮しなくてもいいですよ♪」
すごい笑顔で言われると、断り辛い。計算でやってるんだろうなとは思うが、例えそれでも断る訳にはいかない気がする。
気がするんだが、だからといってこれは……。
「そうですね、ありがたくいただきますよ」
うん、仕方ないよね。もう出されちゃったんだし、ここで断るのも悪いよね。
「それじゃあごゆっくり♪」
店員さんが去ったのを確認して、深いため息を吐く。さてさて、どうしたものか……。いや、食べるしかないんだけどさ。
「ミナトの責任だからね、ボクは知らないよ〜」
「はいはい、分かってるっての」
ノアだったら、すんなりと傷付けることなく断れるんだろうな。俺には何かこう、最初からその選択肢がなかった気がする。
「それにしても、ホント技術だけはすごいよな」
「そうだね、そこはすごいと思うよ」
ラビットスープというだけあって、うさぎがモチーフになっているスープである。そこはいい、それは本来普通である。
問題は、何故かそのモチーフに近付き過ぎていることだ。何でも現実にすれば良いと思うなよ。
しかも、今回は肉塊でうさぎを作っているから、何か昨日のやつよりグロい。ご丁寧に耳まで生やしてやがる。
朝(昼?)からこんなヘビーなもん食べさせるかねぇ普通。ちなみに、ノアの方はごく普通の量だ。
味自体はおいしいと分かってる分、余計に食べない訳にはいかないだろうし、辛いところである。ノアとのPTに支障が出なければいいが……。
「もう物理的に入んねぇわ」
「はい、ご馳走様でした」
ノアの協力もあって、何とか食べ終えることが出来た。さすがに、PTの件を出されたら協力せざるを得なかったみたいだな。
まぁ、渋々だったし、後で何かしらの埋め合わせはしてやらないといけないだろう。
ともかく、これで準備は整った。ようやく、ツバキの元に行けるな。
「何か、ミナト嬉しそうだね」
「まぁな。今からツバキのとこに行くんだし、そりゃテンションも上がるだろ」
「ふ〜ん……」
あれ?何かまた機嫌悪くなってないか?やっぱり、ラビットスープの件が引いてるのだろうか?
「それじゃあ、さっさと行こうぜ?」
「その後のこと、忘れないでよ?」
「分かってるって。その為にも、早くしないとだろ」
あまり遅くなったら、おそらく門が閉められてしまうだろう。その前に帰らないとな。




