始まりの街-21
「ミナト、何かしょげてない?」
「ちょっと、現実に打ちのめされてな」
たまたまこの宿にはいなかったというだけで、きっと探せばいるに違いないとは思うのだが……。元々、魔法等で遠距離攻撃手段もあるので、言い切れないのが悲しいところだ。
「それより、部屋は取れたのか?」
「うん。でも、その前にご飯食べようよ」
「うーん、やっぱり必要か?」
「お腹は空かないけど、気分が重要だって。それに、ミナトは普段あまり食べないんだから、こんな時くらい何か食べないと」
イグニスに来て2日になるが、空腹度システムがないためまったくお腹は空かない。元々食べる方ではないので気にしていなかったが、ノアが食べたいのだから付き合うしかないだろう。
いや、この世界の食に興味自体はあるんだが、大体RPGって同じような料理が多い気がしてさ。
「さぁ、早く座って座って」
「そんな急かさなくても」
俺的には端のテーブルが良いのだが、ノアがそれを許さない。結局、ノアに引っ張られる感じでやや中央から離れたテーブルに着いた。
「さて、何を頼もうかな〜」
「分かんないんでオススメで」
「もう、相変わらずだなぁ。じゃあ、ボクはこれでミナトはこれにしよう。店員さーん」
こういう時は、めんどくさいので基本ノアに丸投げである。まぁ、俺が選ぶよりノアに選んでもらう方が良いのは経験で分かってる。というのも、俺ってば無駄なものを余計に頼む癖があるんだよな。
未知の探求というか、何となくの気分で不要に頼んで後悔するのだ。普段から自分のことをあまり考えないから起きる悲劇である。
それにしても、さっきから何かすごく見られている気がする。ノアがバタバタしてるからかと思っていたが、そういう訳ではないようだ。
何故なら、ノアだけでなく俺まで刺すような視線を向けられているからである。自意識過剰とかではなく、真面目な話周囲からの視線が痛い。
何と言うか、ノアに向けられてるのは愛のある視線で、俺には殺意なんかが混じった視線が向けられてるようで、先程から妙に居心地が悪い。
『あのエルフめ……』
『弓使いっておいww』
『爆発しないかな』
『ノアさんに変な虫が!』
『花火みたいな』
『あぁ、今日は一段と明るいなぁ』
『爆発日和だな』
『爆発四散!』
『どうやったら爆ぜるかな?』
耳を澄ませると、やはり俺たちについて何かいろいろ言っているようだ。
というか、ちょいちょい爆弾魔がいるみたいなんだが。こいつら、副武器としてみんな爆弾でも装備しているのか?いや、あるいは魔法で爆発させるやつって可能性もあるか。どちらにしても、嫌な話である。
それに、こんなとこでそんなもん使ったら大惨事だし、本当に四散とかさせたらグロ映像なんてレベルじゃないぞ。まぁ、さすがにやらないだろうけども。




