始まりの街-20
「それじゃあ、今度は宿屋だね」
「そうだなよろしく頼む。じゃあツバキ、また明日な」
「おう、期待して待ってろよ〜」
「ばいばーい」
ツバキの元を後にして、次なる目的地は宿屋である。
「ねぇミナト、一万Gで本当に良かったの?」
「あぁ、本当はもう少し多くてもいいんだが」
「そうじゃなくて、宿代はどうするの?」
「………………」
あぁ!しまった、そのことを完全に忘れていた!そうじゃん、俺の手持ちは一万Gちょうど。宿代入れたら確実にマイナスじゃねぇか!
「えーっと、ノア?」
「……考えなし」
「うぐっ!し、仕方ないだろ」
仕方ない、そう仕方ないのだ。あれは必要な出費だから、この状態はどちらにせよ不可避だったのだ。だから、決して何も考えていなかった訳じゃないんだからな。
「はぁ……ミナト、手持ちは?」
「ビックボアの肉、牙、毛皮、それに矢が少しだけ……」
「よし、分かった。今日はツケでいいよ」
「本当か!?」
「このまま捨て置くのも気分が悪いからね。その代わり、明日はボクに付き合ってもらうよ」
今夜の宿代は、明日の自由と引き換えらしい。対価としてどうなのかと思ったが、ここで断るという選択肢はない。
「それは構わないが、何をさせるつもりだ?」
「ボクとPTを組んで、素材集めだよ。互いの実力を知るのも含めてね」
「そうだな、それくらいならお安い御用だ」
文無しな以上街にいても何もすることはないし、ノアの戦闘スタイルも知っておかないとだしな。素材配分は少なめになるが、それくらいは余裕で想定範囲内だ。
「よし、それじゃあこの宿に泊まろう」
「あ、もう着いたのか」
ノアが案内してくれたのは、3階建ての建物でベッドの絵が描かれた看板があった。1階は食堂になっているみたいで、まさにRPGによくある宿屋である。
「なぁ、一泊でどれくらいかかるんだ?」
「1人1500Gだね」
「うーん、高いのか安いのか……」
「大体元の世界に換算して5〜8倍らしいから、そこまでじゃないかな」
約一万円前後なら、そうでもない……のか?というか、だとするとあの珠最低でも二十万以上だったのか……またとてつもない値段だなおい。
「ボク的には、値段と質とのバランスがちょうどいい宿だと思うよ」
「ノアがそう言うなら、そうなんだろうな」
「よし、いつまでも立ち話はなんだから、さっさと入ろう」
カウンターでノアに部屋を手配してもらっている間にざっと周りを見ると、やはりというか冒険者らしき装備の人が多かった。剣や盾、槍にハンマーなど様々な獲物が見受けられる。
だが、マジで弓使いはいないな……。いくら不遇スキルだからって、1人くらいいてもいいと思うんだけどなぁ。




