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付加魔法は自分のために  作者: 仙堂レイ
第二章:十人十色
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始まりの街-19

「……とは言ったものの、さすがに一万Gは貰い過ぎだわ」

「いや、そんなことないと思うぞ。ほら、これからもあるんだから、先行投資ってことで」


 実際、このGの価値がどれくらいなのかいまいちパッとしないが、決して高い金額だとは思わない。むしろ、先行投資とか言うくらいなら全然少ない気がする。


「先行投資ねぇ……そう言って来るならこっちも初回サービスなんてどうだ?」

「うーん、素直に受け取ってくださいよ」

「その時々出ちゃう敬語を直してくれるなら考える」


 ぐぬぬ……。乗せるのが上手いというか、ああ言えばこう言うというか……。口が達者な人だ。


「よし、仕方ないから折衷案を提示しようか」

「「折衷案?」」

「見たところ、ミナトは稀有な弓使いのエルフようだな」

「森の民は、自然と共に生きるのさ」


 最も、スキルを決めてから種族を決めている上に、半強制的に決まっている。おまけに午前中には森林破壊なんかしていたが、それでもきちんとエルフです。


「そこでだ、今度素材を集めて来てくれれば、無料で弓を作ってやる。これでどうだ?」

「うーん、まだギリギリ……かな?」

「じゃあ、余った素材も受け取ってやろう」

「……仕方ない、それで」


 これもお互い譲歩した結果だろう。本当は、どちらも謙遜しているのだ。まぁ、それではずっと平行線なので、これは最低限の落とし所だ。


「というか、弓とか作れんの?」

「【細工】の他にも【木工】も持ってるからな。木製なら強化とかも出来るぞ」


 ここにきて、まさかの武器強化も出来る目処が立つとは……嬉しい誤算である。

 まぁ最も、矢がないとどうしようもないんだけどな。


「よし、それじゃあ早速取り掛かりたいんだが」

「そうだな、こっちもいい加減宿を決めないとだし、とりあえず今日はここまでってことで」


 もう辺りは暗くなっている。せっかく街に来たのに宿無しはいろいろ残念だ。


「完成はいつになりそうだ?」

「すでにイメージは固まってるし、多分明日には完成してるぞ」


 こいつ、徹夜する気だ……。いや、思ってることをすぐに行動に移したくなるのは分かるけどさ。

 こっちにしても、早いのは歓迎だが、無理をさせたくないんだけどな。


「……心配すんな。やることやったらきちんと寝るからさ」

「……分かった。だったら、昼に来るからよろしくな」

「そんなに心配しなくていいぞ」

「こっちが眠いだけだよ」


 実際、朝は苦手だ。休日には基本午後までは寝ているし、平日でもギリギリまで惰眠を貪っている。一人暮らしだと誰にも何も言われないからルーズになるよな。

 まぁ、確かに心配する気持ちがない訳ではないが、進んで生産職を選んでるみたいだし、その辺はきちんと自分で調整出来るだろう。

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