始まりの街-18
「えーっと、ノア?」
「あっ、ごめんごめん。おいてけぼりにしちゃってたね」
「おう、いらっしゃい。何だ、知り合いか?」
ようやくこっちに気付いたようだな。楽しそうにしていたが、仕方ないだろう。
「こちら、ツバキさん。この人はミナトだよ」
「ミナトね。あたしはツバキ。まぁ、よろしくな」
「えっと、ミナトです。こちらこそ、よろしくお願いしますツバキさん」
「おいおい、そんなかしこまるなって。あたしのことは呼び捨てで構わないからさ」
勝ち気な笑顔で気さくに話しかけてくれるツバキさ……ツバキ。どうやら良い人そうだ。
赤毛ショートで女性にしては高めの身長、スラッとした体格に褐色の肌も合わさって、何かのスポーツ選手のようだな。右眼が赤で左眼が青色……オッドアイだな。実際には病気でなることが多いらしいが、キャラメイクの際に変えたのだろう。それくらいは、簡単なはずだ。
「そうそう、この人気さくなんだから、そういうのいらないって」
「どうしてノアはそうも簡単に仲良くなれるかねぇ」
「街での情報収集の賜物だよ」
一体何の情報をどう収集したらそうなるのやら……。基本的に閉鎖コミュニティの俺には到底分からないことだろう。
「それより、用があって来たんでしょ?」
「あ、あぁ……」
それは主にこっちの台詞なんだが……。いや、まぁ良いけどさ。
「用って?」
「これに合うアクセサリーを作って貰おうと思いまして……」
「おぉ、特注品の依頼か。しかもこの石、綺麗で珍しそうだな。でも良いのか?あたしはまだあんた達と同じ新米プレイヤーだぞ?」
「他に頼る人もいないし、せっかくの珠だからな。どうせなら少し個性も欲しいし、その点ツバキはこの品を見るに期待しても良さそうだ」
この店に並べられた商品はすべて自作だそうだが、カッコイイのもかわいいのも多く、これだけでツバキのセンスが窺える。
俺からすれば、この出来でそれなりってのはすごく謙虚に思う。それこそ、露店なのは日が浅いだけで、すぐに自分の店を持つようになりそうな気さえする。
「そりゃどうも。さて、あたし自身この依頼は受けたいんだが、一応商人なんで聞いとく。見返りは?」
「もちろん無償でなんて言わないさ。一万Gと加工の際の経験値、後はそうだな……俺の信頼なんてどうだ?」
「アッハッハ!いいねぇあんた!気に入ったよ。そんなこと言われたらあたしも応えなきゃならないな。いいぜ、今出来る最高の作品を作ってやるよ」
どうやら、承諾してくれるようだ。やる気も十分みたいだし、これは良いものを期待できるだろう。
「ミナトってば、キザったらしいこと言っちゃって……」
「ん?どうかしたか?」
「いや、別に〜」
何かノアが不機嫌になっているが、一体どうしたんだろう?何か嫌なことでも思い出したんだろうか?




