始まりの街-15
うーん、別に売る必要もないのか。まぁ、俺のなんだし、強制される方がおかしいけどな。
「よし、売るかどうかは後にして、とりあえず何なのか教えてくれ」
実際、訳も分からず売ることで4万Gにはなるが、もしかしたらその値以上の有用性があるのかも知れない。そもそも、この店がすべてという訳でもないしな。
「一応言っておくが、お前には価値のない物かも知れないぞ?」
「それは俺が決めることだ」
「いや、この街をほとんどにとって必要のない物だな」
「それでも、気になるもんは気になるんだよ」
実際、もう知らないままという選択肢は俺の中に存在しない。いくら金を積まれようと、知りたいものは知りたいのだ。
「はぁ、仕方ねぇな。そこまで言うなら教えてやるよ」
「あぁ、助かる」
「こいつは召喚石ってやつで、特定のモンスターを呼び出す際に使う石だそうだ」
マスターから珠を返してもらい、再び調べてみる。すると、説明文が書き変わっていた。
召喚石【赤】……ビックボアから落ちた赤い珠。召喚の際に媒介とすることで、攻撃力の高い赤いモンスターを呼び出すことが出来る。
うわ、確かにこれはほとんどの人が使えないわ……。まぁ、問題は全然ないがな。
「な、言わんこっちゃない性能の珠だろ?はっきり言って、この街に使える奴はいない。あの捕まった男以外はな」
「あぁ、唯一の【使役】を使えたあいつか」
「そう、この珠は【使役】を持っていないと意味のない物だ。なのに、この街であいつ以外に使えないとすると……な?値段が下がるのも分かるだろ?」
まぁ確かに、需要がないと物は売れない。その点、そこを弁えてなお4万Gを提示していたマスターの気概がすごい。使えないとしても、価値自体は高い物だと思ったんだろうな。
「さて、全部で2万Gだ、どうする?」
「あぁ、売らせてもらうよ……この珠以外を1万Gでな」
「ほう……そいつは持っておくのか。どこかに売り付けるようには見えないし、何かの記念品か?」
「いやいや、それだけで持っておくようなもんだったら、そもそも値段なんて気にする前に鑑定だけして返してもらってるよ」
「まぁ、それもそうだよな」
実際、記念品と言えばある意味そうなのかも知れないが、かと言ってそれだけで持っておくようなもんでもあるまい。
それに何より、俺自身が使えるのに他人に渡すとかもったいないだろ?
「こいつは俺がもらうことにする」
「……どこにも売らないのか?」
「あぁ、自分で使うからな」
「それはどういう……」
「ミナトは【使役】持ちだからねぇ。その珠もそれなりに扱えるでしょ」
「いや、それなりじゃなくて、きちんと扱って見せるから」
何でそこでそれなりなんだよ。やる以上は、十二分に性能発揮させてやるっての。というか、そうしないともったいないし、やっていけないからな。




