始まりの街-13
飄々としているし、期待していないのは事実だろう。まぁ、こちらとしても、そこまで目指すかと言われたらそうでもないので、このまま自由に突き進ませてもらうが。
「それより、換金所とか知らねぇか?お金がないといろいろ不便だからさ」
「うーん、売るつもりなのはどんなやつ?」
「主にバットの翼とか耳かな?あと、買い取ってくれるなら牙や血も?」
「モンスターのドロップがメインなんだね。それなら……うん、あの人がいいかな?」
こっちだよ、と先にどんどん進もうとするノア。慌てて後を追いかけて、ルインの中に足を踏み入れる。
あの動画で見た街にそっくりだった。石畳で整備された道路を馬車や人々が行き交い、様々な露店が軒を連ねている。
人々が奏でる音楽に、客寄せする商人の声に、馬車の走る音に、鍛冶屋の金属を打ち付ける音に、俺の胸は高鳴った。
「ホント、ゲームの中の世界だよねぇ」
「あぁ、これこそ俺たちの求めていた世界って感じだな」
普通に戻ってきたノアと一緒に、しみじみと眺める。改めて、ここはゲームなんだよなと実感させてくれるよな。
「それで、そろそろいいかな?」
「おう、すまねぇな」
「まぁ、初めてなら必ず見惚れるし、仕方ないよ」
これでこそ、ゲームというこの情景だし、普通見惚れるよな。街の人も慣れているのだろう、こんな道の真ん中でつっ立ってるのに、誰も気にしてない。
「それじゃ、こっちだよ〜」
「お、おい……」
腕を掴まれて、強引に引っ張られる。いや、これはいいんだ別に。もう慣れた。
問題は、その向かってる先だ。何か、大通りから少し逸れただけで、怪しさ漂う場所になった。その道を、少し複雑に歩いたところで立ち止まった。目の前には扉がある。
「さ、この中だよ」
「うーん、本当にここでいいのか?」
「大丈夫だって。中は結構綺麗だからさ」
ノアは、俺の心配を他所に、勢い良く扉を開ける。ノアが建物の中に入って行くと、手を掴まれてる俺も自動的に中に入るわけで……。
「ここは、バーか?」
「そうだね、何でも屋だからお酒も置いてるはずだよ」
「おいおい、ここはあくまで交換所。求める奴に求めてる物を与える場だよ」
カウンターの向こうにいる男性から注意を受ける。まぁ、雰囲気はバーみたいだけど、素材を取り引きするんだから、実際は違うのは当たり前だよな。
「だってマスター、なんだって持ってるじゃん」
「まぁ、一通り揃えておかないと、要望には応えられないからな」
「ノア、この方は?」
「彼はマスター。この店のオーナーで、所謂救済キャラだよ」
「ここ『リバースホープ』の店主だ。マスターで構わないぞ」
とてつもないメタ発言を無視しているし、やっぱりNPCなんだろうな。それにしても、換金所じゃなくて交換所……?




