始まりの街-9
初めての街にようやく足を踏み入れる……ことは叶わなかった。というのも……。
「さすがだねぇ、ホント……」
「すごい勢いだな」
門を開けた瞬間に大量の人が流れ出て来たからだ。喧々囂々、まるで雪崩のような勢いで口うるさく叫びながらどんどん出てくる。
理由を探ろうとしても、怒号が聞こえるだけで全然分からない。
「これは、どうなっているんですか?」
仕方が無いので、門番に話を聞くことにする。対して、門番の方は苦笑いだ。
「そのですね、この門を閉めたのがまだ日が出て間もない頃だったのですよ」
「ほう、そんな早くから……」
「そうなんです。なので、ちょっとその……血の気の多い輩が出せ出せとうるさくてですね……」
そりゃそうか。何せ冒険に出ようとしたのに、街にずっと閉じ込められて意味の分からない強盗騒ぎに巻き込まれたんだ、いきり立つのも仕方ないだろうよ。
「……で、どうしてそんな奴らがこっちを見てるんだ?」
「何か、オレまで注目されてる?」
そのまま草原を走破していくのかと思いきや、何か半数近くは遠巻きに俺らを見つめている?
耳を澄まして声を聞いてみると、『あれが……』『生き残り』『情報通り』など、良く分からない単語が断片的に聞こえた来た。
「おい、お前がハヤトとかいう冒険者だな?」
「あぁ、そうだが?」
「お前に聞きたいことがある」
やがて、1人の男がハヤトに声をかけてきた。何と言うか、顔が少し強ばっている?
「貴様、ウルフを独りで狩っていたそうだな。それも、大量に」
「あぁ、経験値稼ぎと素材集め、後はウォーミングアップとしてな」
ハヤトが答えると、周りにどよめきが生じる。様子からして、ありえないって感じだな。
質問した奴の顔も何か引き攣ってるし。
「それが本当かどうか見極めさせてもらいたい」
「何でまた……」
「掲示板を見てないのか?ウルフキラーの剣士は掲示板でも話題だぞ」
どうやら、掲示板でハヤトのことが話題になっていたみたいだ。まぁ、そりゃあ始まってすぐに装備が変わってるし、大剣は元々目立つだろう。それに、もし換金してるところを誰かが見ていたら、驚いて書き込んでてもおかしくないしな。
「正直めんどくさいんだが」
「見るだけで大勢のプレイヤーの勉強になるんだ。ほら、お礼ならきちんとするからよ」
「いいじゃんかハヤト、ガツンと見せ付けてこいよ」
「……はぁ、仕方ねぇな」
めんどくさいとは言いつつも、あいつはきちんとこなしてくれるだろう。変なところは真面目なのだ。
「……で、どうしてまだ残ってるわけ?」
ハヤトと一緒に、3分の2くらいは草原へと進軍していったのに、何故かまだその場に留まっている奴らがいる。……俺にも、用があるのか。




