始まりの街-8
『なに、そう簡単に人を殺めたりしないさ。生き方にもいろいろあるし、彼が正当な手続きでももってやっていたなら止めなかったしね。何せここはイグニス。もちろん、闇ギルドみたいなものも探せば出てくるかもよ?』
うん、それはあると言っているのと同意だ。そこを通せば、ブラックなことでも、こうしていちいち介入したりはしないと言っているのだろう。
今回は、独りで身勝手にいきなり大勢のプレイヤーに迷惑をかけた罰ということや、モラルはしっかりとしろよ?的な注意も兼ねたものだったんだろうな。
『それと、五感や現実での身体はこちらで掌握していることは事実なので、あまり逸脱し過ぎた行動をして、我々を怒らせるようなことはしないでもらいたいね』
まぁ、そうだよな。すべての権限はゲームマスターのものだ。良くも悪くもな。
いやまぁ、現実世界の身体を預けるのは怖いけどさ。
『それでは、良い人生を』
映像は切れ、風の吹く音だけが辺りに響く。
うん、死んではいないし外傷もなかったのでグロテスクではなかったが、ショッキングな内容ではあった。
うん、恐らく大勢のプレイヤーはテンションダダ下がりだろう。
それと同時に、少しでも考えを改めたプレイヤーがいることを願う。
「ったく、変なもん見せてくれるぜ」
「一応、グロくならないように配慮してはいそうだけどな」
多分、やろうと思えば簡単に、もっと残酷に出来ただろう。
それをしなかったのは、自分の力を知らしめるためだろうが、こちら側にも配慮があったと思う。
「まぁ、どちらにせよ『誰かさん』のお陰で解決したようだし、そろそろ入れてくれるだろ」
何か含みのある言い方してくるな。いやまぁ、恐らく俺の情報をNPCが役立ててくれたんだろうけどさ。
「まぁ、日も暮れてきたし、さっさと宿とって明日からに備えないとな」
「ピンキリだろうけど、お金が必要だってこと忘れてないよな?」
「……まずは換金所だな」
いや、忘れてた訳じゃないんだぞ?ただちょっと他のことに気を取られてただけだ。
「すみません、お待たせしました。門を開ける許可が下りました」
しばらくして、ようやく門番が帰って来た。どうやら、きちんと許可が出たみたいだな。良かった、これで街に入ることが出来る。
「ありがとうございました。犯人を捕まえられたのは、貴方のお陰です」
「それは何より。ところで、どうして犯人を特定出来たんだ?」
「それはもちろん、貴方が言っていたように【使役】持ちだったからですよ」
「他の要因は?」
いくらスキルが分かるからといって、それだけではただの容疑者でしかない。何かしらの決定打があったはずだ。
「ありませんし、必要もないですよ」
「それってどういう……」
「あんな不遇スキルの持ち主は他にいなかった。ただ、それだけです」
あぁうん、そうですよね……。
まさかNPCにすら不遇スキルとして認知されてるとは……。
「何はともあれ、これで門が開けます。ようこそ、始まりの街『ルイン』へ」
スキル自体の説明は、キャラメイク時にされます。
並の不遇スキルはその時点で見分けられます。




