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付加魔法は自分のために  作者: 仙堂レイ
第二章:十人十色
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始まりの街-7

『とまぁ、何かほざいているので、サクッと終わらせるとしよう』

『……!?』


 男が手を上げると、椅子に座っていたチンピラが口をパクパクさせながら、激しく暴れようとしだした。しかし、どういう訳か声が出ていない……?


『あまりにも耳障りだったのでね、まずは喉から潰させてもらった』

『………………』


 声にならない声を上げようとし、チンピラは尚も暴れている。というか、潰したって物理的にか?


『これは私からの最大限の配慮だ。視界をなくしてやる』

『………………』


 由男が指を鳴らすと、チンピラの目から光が消えた。首をめちゃくちゃに振って辺りを確認しているような動作をしている。

 恐らく、もう何も見えないのだろう。


『さて、次は手足にするかな?』

『………………』


 男が再度指を鳴らすと、一気にチンピラの四肢から力が抜け、首をさらに激しく振り出した。

 目以外の表情が苦痛に歪んでいる。……どういうことだ?


『次は腹を裂いてやろう。なに、心配することはない。このくらいでは死にはしないさ』

『………………』


 男が指を鳩尾から真っ直ぐ下に這わせると、チンピラの首が痙攣し始めた。

 ……しかし、チンピラの身体には何の変化も起きていない?


『ほら、心臓に触れてるのが分かるかい?ここでちょっとでも私が力を込めれば……』

『………………』


 もう意識があるのか分からないが、表情だけはいろいろ変わってるから、聞こえてはいるのだろう。もしかしたら、気絶すら許されないのかもしれない。


 だが、こちらから見ると、男が触れているのは胸板で、内側に心臓があるのだろうが、決して直接触ってはいない。力込めて指が貫通するとかなら、それはそれで怖いが……。


『君は、他のプレイヤーへのいい見せしめになるんだ……もうめんどくさいからそろそろ終わりにしようかな?』

『………………』


 痙攣していた首をなんとか縦に振ろうとするチンピラ。というか、本音漏れてるぞおい。


『という訳で、じゃあね☆』

『パン!』


 大きな破裂音がして、ガックリと項垂れるチンピラ。身体には銃で撃たれた生々しい跡や、大量の血。返り血で染まった男の姿。

 その顔には、貼り付いたような笑みが……。


『……とまぁ、我々にはこのようなことも可能なのだよ』


 男の声は、先程までとは違い、何か軽い感じになっている。ただの気のいいおっさんのようだ。


 というのも、チンピラは項垂れたままだが、身体にはどこにも傷はなく、部屋は綺麗なままで、男に返り血なんて付いておらず、自然な笑顔である。

 つまり、チンピラは独りで勝手に項垂れているだけなのだ。


『これで彼も少しは反省してくれるだろう』


 男がやったのは、ただの精神攻撃だ。多分、視界と発声機能を奪ったのは本当だろうが、それだけだ。

 後は、言葉と音、感覚に騙されて、チンピラが精神を殺られただけだろう。最後なんて、ただの猫だましだったしな。

人間の想像力ってすごいですよね。

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