始まりの街-6
ネタスキルとして価値があるならまだしも、こいつは完全に間違ってるスキルだ。いやまぁ、これはこれでいろいろ使えそうではあるが……。
『あーあー、諸君。聞こえているだろうか?』
俺がハヤトでレベル上げしていると、いきなり謎の声が聞こえてきた。うん、考えるまでもなくあの男だ。
『さて、多くのプレイヤーが知っていると思うが、始まりの街にて強盗事件が起こった』
ハヤトにも聞こえているのだろう、耳に手を当てて静かにしている。この声、耳からってよりは、直接頭ん中に響いてくる感じだからあんまり関係ないと思うんだがなぁ。
『これは我々の想定外の自体であり、同時に君たちがこの世界についてまだ上手く認識出来ていないということが分かった』
想定外……やはりイベントではなく、誰か『プレイヤー』が巻き起こしたってことか。
認識については……どういう意味なんだろうな?
『さて、ここにとある情報筋の協力により捕らえられた愚かなプレイヤーの1人がいる。こやつは、ここがゲームの世界だと高を括っており、何をしても大丈夫という間違った認識でこんなことをしでかした』
突然目の前にスクリーンが映し出され、よくいるチンピラの様な顔をした男が椅子に括り付けられていた。
恐らく、こいつが今回の犯人だろう。
『けっ、何がイグニスだ。新しい世界で新しい人生を進んで何が悪い!』
完全に開き直ってやがる。確かに、それはそれで考え方の一つではあるのかも知れないが、こいつのそれはどうせゲームなんだからと割り切っていやがる。
『このように、イグニスのことを軽視している輩が少なからずいるのは分かっている。確かにゲームだ、たかがゲームだ……しかし、この世界をただのゲームとして、君たちは割り切れるかな?』
急に声の調子が変わる。より低く、より真剣みを帯び、より冷酷なものへと……。
『分からないようなら言ってやろう。この世界はゲームだ。君たちは、そこに仮染めの身体で立っている。つまり、君たちのその身体も、現実での身体も我々の意思でどうにでも出来るということだよ』
男の顔が変わる。より凶悪に、より残酷に、より禍々しい笑みへと……。
『手始めに、このクズを葬りさってやろう。何せこいつは、あろうことかseconddiaryを転売目的で手に入れたからな。無理矢理にでもやらせれば良さに気付くかとも思ったのだが……どうやら甘かったようだ』
正直、あれほど騒がれていたのだ。転売目的の奴がいてもおかしくはないだろう。
というか、無理矢理って、どうやってseconddiaryをやらせたんだろうか?
『うるせぇ!どうせ何されたって死に戻りするだけだ。やるならさっさとやれよ!』
あぁうん、どうしてこの手の奴は人の話を聞かないし理解しないのだろう?
正直、この状況で刃向かえるのはある意味尊敬するわ。ただの考えなしなんだろうけどさ。
一章でも言ってるように、現実の身体は彼等の監視下にあります。




