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付加魔法は自分のために  作者: 仙堂レイ
第二章:十人十色
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始まりの街-2

「やはり、ピックアップする対象が違うようですよ」


 未だに武器をこちらに向けている門番に説明しようとしているのだが、怪訝な表情だ。まぁ、無理もないだろうけどな。


「貴様、一体どうやってこいつを呼んだか説明しろ」


 口調も、先程とは打って変わって真剣なものになっている。武器もラビットではなく、俺に向けられているしな。


「ちゃんと説明しますから、物騒な目を向けないでくださいよ」


 ラビットを消し、なるべく優しい声で言うが、中々納めてはくれない。ハヤトはと言うと、さして興味もなさそうにそこら辺で横になっている。


「今のは、アーツ《サモン》で召喚した俺の命令を聞くモンスターですよ」


 仕方がないので、このまま説明に入る。少し落ち着かないが、相手もプロ。突発的な行動は取らないはずだ。


「サモン?そんなアーツ聞いたこともないぞ」

「まぁ、少しマイナーらしいからな」


 NPCはどうかは知らないが、プレイヤーの中では【使役】は不遇スキルとして嫌われているみたいだし、ましてや街中で使うようなアーツではないしな。


「ともかく、このアーツ《サモン》が使えるスキル【使役】持ちの奴がこの街の中にいるはずです」

「そいつが、強盗犯だと?」

「えぇ、恐らくそうです」

「【調教】持ちにも犯行は可能ではないか?」


 確かに今回の事件、一見すると【調教】持ちでも可能そうに見える。だが、【使役】と【調教】には明確な違いがいくつかあるのだ。


「【調教】だと、常にそのモンスターと共に行動しないといけませんよね?」

「あぁ、単体でいればただのモンスターにしか見えず、討伐されてしまう可能性があるからな」

「では、誰かがその赤いウサギとやらと行動してたらどうします?」

「怪しいというか、ほぼ犯人だと思うな」

「ですが、誰も一緒にいないと」


 そう、【調教】で手懐けたモンスターは、常に連れて歩かなければならない。そんな目立つモンスターを連れていれば、すぐに誰が犯人なのかバレるだろう。

 なのにまだ捕まっていないというのは、そういうことだ。


「それに、被害者の証言だと、急にモンスターが現れたんでしょ?サモンなら、そういう演出も可能です」

「なるほど……しかし、そうなると厳しいな」

「何がです?」

「犯人が召喚していたとされるのは、私達が今まで見たこともないようなウサギのモンスターだった。ということは、相手は相当の実力の持ち主なのではないか?」


 まぁ、普通に考えればそうなるだろう。見るからに強そうというか不気味なモンスターを出せるのだ。もっと他にも大量のモンスターを出せると思うのも当然だ。

 しかし、それこそが犯人が仕掛けた最大の罠であり、この強盗の要でもある。


「大丈夫です。俺が考えている通りなら、そいつはまだ若輩の冒険者ですから」


 それも、恐らく冒険者になってから二日目の、頭だけはまあまあ回るプレイヤーだ。戦闘に関しては、ほとんど素人だろうし、レベルも低いはずだ。

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