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付加魔法は自分のために  作者: 仙堂レイ
第一章:日常の終わり
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ソロプレイ-11

早い時は早いです。

「何だかんだで、結構寝れるもんだな」


 木の上で目を覚ますと、いつの間にか太陽は真上近くまで上がっていた。時刻は、多分10時過ぎってとこだろう。


「あいつは……うん、いないな」


 ラビットは役目を終えたみたいで、いつの間にか消えており、MPも全回復している。

 ステータスを見ると【使役】レベルも上がっていた。


「さてと、さっさと出口目指しましょうかねぇ」


 木の上から慎重に降り、出口を求めて呑気に歩き出す。途中で木にバットの牙で目印を刻む。


 バットの牙……バットに生えた鋭い牙。小さな穴が空いている。


 恐らく、この穴から血を流し込んでいたのだろう。鋭くはあるものの、そのせいで少し脆そうだ。


 そうして歩くこと十数分、木々の隙間から光が差していた。恐らく、そこを過ぎれば草原だろう。ただ、それには問題があった。


「うーん、あまりモンスターに出会わないと思ってたが、やっぱりか……」


 俺とその道を遮るようにして、一匹のボアが休んでいた。

 ただし、他のボアと比べても2周りほど大きく、毛並みも赤みがかっていた。

 表示されてる名前は……ビックボア。ボス……ではないだろうが、明らかに他の奴とは違う。


「さて、どうしたものか……」


 あの大きさとなると、以前のようにアクアボールで足元を滑りやすくしても自重で踏ん張れるだろう。

 一応、方法がない事もないが、突進に当たったら一撃なんだろうな。


「それでも、やるしかないか」


 とにかく、ここを抜けない限りは、どうしようもないのだ。幸いにも、勝てる算段はあるのだし、後はやる勇気だ。


「サモン」


 なるべく遠くからウリボーを召喚して、突撃させる。ダメージはほとんどないだろうが、注意くらいは引けるだろう。


『ブモォォォ!』


 ビックボアが起き上がったと思ったら、いつの間にかウリボーは飛ばされており、一瞬で消失してしまった。

 あまりの早さに判断が少し遅れると、いつの間にかこちらに目を向けたビックボアと目が合い……!?


「死ぬ!マジで死ぬぅ!?」


 木々をジグザグに避けながら進む事で何とか回避しているが、生きてる心地がしない。というのも、たまに木をなぎ倒して突進してくるからだ。

 おまけに……。


『すぅぅぅ』

「ヤバっ!」

『ブモォォォ!』


 奴の叫びを聞いた途端、足が止まってしまう。

 恐らく、あの咆哮のせいだろう。

 後で知ったが、モンスターの中にもスキルを使う奴がいるそうだ。


 ほんの少しの硬直を振り切って、無理矢理身体を動かす事によって、何とか回避する。

 それでも、考えなしに避けるしかないせいで、身体中あちこち傷だらけで、HPも減っている。


「よ、ようやく見えた」


 ビックボアから逃げ続ける事およそ数分、今朝起きた場所まで戻って来れた。

 HPは既に4分の1以下……かなりギリギリである。


「さて、上手く嵌ればいいんだが……」


 木を背にして、ビックボアを待つ。後必要なのは、適切なタイミングだけだ。

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