新たな自分-15
乗ると書くのが速くなるね。
『ホンマ、あんさんらは強運やで。まさか、二人揃って当選してるなんてなぁ』
「そりゃあ、俺たちだからな」
「信じる者は救われるってね」
向こうは、本気で呆れてるようだが、これが俺たちだ。ちなみに、隼はどうなったのか電話しようとすると、
『あぁ、ホンマはあまり言ってはいけないんですが、石田隼はんも当選しとります』
だそうだ。ナチュラルに人の思考を読んだのは、気にしない方向で。
「という事は、無事にみんなゲットしたってことか」
『どないなっとんや……』
「抽選なんだし、決めたのはそっちだけどね」
そう、どんな方法を取ったにせよ、選んだのは向こうだ。俺たちは、ただ単に運良く選ばれただけだ。
でもまぁ、実際にはどの程度の確率だったのかは気になるところではある。
『ともかく、当たったんやから、やらなしゃーないな。これがseconddiaryへの入口や』
画面には、まったく同じ機械が2つ映っている。半円状で籠のようになっているそれには、2つを繋ぐように三股のケーブルが伸びており、ケーブルの先は、USBに挿せるようになっている。
『おいおい、まさかこれを引き当てるか……。ホンマ、つくづくどうなっとんねん』
「何か、特別なのか?」
『いや、何でもあらへん。とにかく、それを『取り出す』んや』
おい、それってまさか……。
ありえないとは思いつつも、画面に手を触れようとすると、スッと中まで入ってしまった。
そのまま機械を掴んで引き抜くと、画面に映ってたはずの機械は、俺の手に握られていた。
ホントに、何でもありだな。
「それで、これをどうすりゃ良いんだ?」
『頭に被って、そのケーブルの先をパソコンに繋げるんや。後は、眠ろうとすれば、自然と起動するで』
「もしかして、身体はそのままか?」
『せやな、seconddiaryにいる間、生きるのに必要な動作以外は何もせぇへんようになるから、ベッドとかで横になるのがオススメやで』
そうか、これは恐らく脳波を使って、ゲームをするのだろう。身体が動かないのは、動こうと命令してもゲーム側しか反応しないようになっているからだ。
「ところで、ベッドが1つしかないんだが」
『そんなもん、知らへんわ。そもそも、それは特別仕様みたいで、手を握った状態やないと作動せぇへんで』
「んなっ!?」
『まぁ、男やったら諦めるんやな。ほら、そこの娘を見てみ?すごく嬉しそうやで?』
「あれは、プレイ出来る喜びから来てるから……」
乃亜先輩はすごく笑顔だが、それはSDが出来るからだろう。まぁ、今更こんな事で駄々こねても仕方ないか。
『それじゃ、さっさと寝た寝た』
指示された通りに、ケーブルを挿して機械を被り横になる。すごく恥ずかしくはあるが、仕方がないので乃亜先輩と手を握ったままだ。
『では、あんさんらに、新たな世界の祝福を……』
そして、俺の意識は闇の中に沈んでいった……。




