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オッサンフェアリーと私  作者: さむぺん
第1章 妖精界
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妖精も犯罪するんですね

 お互い助け合えるのがベストなのは何に関しても同じことだ。

 しかしここの家主では無いらしいけど、地下室の鍵の場所は知っているのだろうか。

 高齢妖精が言っていた“資料が沢山ある”という話は事実なのか、そもそもどこ情報なんだ?


「地図ですか……?地下の資料室にあると思いますけど、見てないですか?」

「資料室、鍵が掛かってたんですよね」

「鍵……ですか」


 妖怪ちゃんの表情が暗くなり、黙り込む。

 どこかから下手くそなピアノの音が聞こえてきた。オッサンがいない。

 音を辿ると、広間の端にピアノが置いてあった。

 少し奥に入った所だったから、気が付かなかったのだろう。


「どうせ弾くなら上手く弾いてくださいよ」

「これは練習中のやつだからね!よしっ、十八番弾いちゃう!」


 オッサンは恐らく退屈だったのだろう。

 話しかけられて嬉しそうな顔をしていた。

 十八番を弾く言いながら、指がピアノに触れる気配が無い。


「ピアノの弾き方わからなくなったんですか?この鍵盤を……」

「バカにしてんの!?わかるよそんなの!今楽譜思い出してるから!あっちいってて!」


 仕方なく妖怪ちゃんの元へ戻る。

 妖怪って言っても種類かなりあると思うんだけど、この子はなんて妖怪なんだろう。

 可愛いし、座敷わらし的な感じなのかな。


「あの、鍵って本当に掛かってました?」

「ドアノブ握ったのあの妖精なのでちょっとアレですが、多分閉まってたかと」

「うーん、そんなはずないんですけど……」


 普段この屋敷の地下は資料室として解放されており、妖精達がごく稀に資料を見に来るのだとか。高齢妖精が言ってたのはこの事っぽい。


「なので、鍵の場所とかも知らないんです……」

「なるほど、ならなんで閉まってたんでしょうか」


 2人して黙り込み、考えてみる。

 凄く静かな空間に、ピアノが流れ始める。どこかで聞いたことがあるような……


「よんでいるーむねーのーどーこかおー」

「ちょっと、やめてください」

「えっ、なんで」

「色々と問題があります、色々と」


 ピアノを弾くだけならまだ許せたのに歌い出すとは予想外だ。十八番なだけあってアレンジまでされていたから伴奏だけなら良かったのに。


「ちぇっ、もう弾かんわ」

「そんな事より地下室の鍵って本当に閉まってたんですよね」

「一緒にいたじゃん、ガチャってたじゃん」

「鍵閉めてないみたいなんですよね」

「物理だ、物理しかないね」


 物理かは置いておいて、3人で地下へ向かう。

 オッサンがドアノブを握った。


「開けるよっ、ねぇ、準備いい?」

「早くしてください」

「おりゃっ」


 ドアが開いた。


「開くんじゃん!」


 妖怪ちゃんが思わずツッコんだ。

 確かに散々閉まってると言われてのコレは仕方がない。

 妖怪ちゃんが中を覗き込み、声をもらした。


「荒らされてる……」


 普段の状態を知らなくても、何者かに荒らされたとわかる程、中の資料が散乱していたのだ。

 という事は、ついさっきまで誰かがここにいて、荒らしていたという事になる。


「さっき鍵閉まってた時、中に人がいたって事じゃん」

「どうしたんですか、まともな事言って」

「僕いつもまともなんだけど」


 妖怪ちゃんがよく分からない術を使い、散らかった資料を一気に片付けた。妖怪って凄い。

 妖精警察とかあるなら通報しておくべき案件だった気もするが、証拠とかも恐らく片付けられたと思う。


「取られた物が無いかチェックしますね……」


 妖怪ちゃんは棚を片っ端から見始めた。そこは随分とアナログなんですね。

 オッサンがこっちを見て、静かに手を挙げた。

 何がしたいのかわからないので、とりあえず見守る。


「せんせー、ちょっと良いですか」

「内容によっては保証しませんけど」

「犯人って妖精だよね、多分」

「妖精界ですからね」


 恐らく妖精が荒らしてドアで逃げたのだろう。それくらいは誰でも想像出来る。

 そうなると犯人の特定はかなり難しいけど。

 妖怪ちゃんがなにやら焦りながら戻ってきた。


「確認してきました!」

「どうでした?」

「妖精界から天精界までを記してある地図が無くなっています!」

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