妖精の子は妖精
地図がピンポイントで盗まれた。
そんな事がこのタイミングであるなんて、私達の阻止をしようとしているのか、犯人も同じ立場なのか。
「地図が盗まれただけですか?」
「はい、地図だけが無くなっています」
「地図盗まれたの!?ヤバいじゃん!」
状況は最悪だ。確実に。
同じ立場の妖精なんて恐らくいないだろうし、私達の邪魔をして得するような妖精もいないでしょ。
せっかく地図が手に入る手前まで来たというのに。
「なんか恨まれる心当たりとかあります?多そうですけど」
「無い無い!あるわけないじゃん僕だよ?」
「その僕だから聞いたんですけどね」
まぁ心当たりは無いだろうと思っていたけど。
無自覚で迷惑振りまくのが1番タチ悪いとはまさにこの事だ。
「どうするんですか?これから」
「妖怪ちゃん……巻き込んじゃってすみません」
「いえ、それは全然大丈夫です」
「僕からもごめんねソーリー」
オッサンの発言を完全無視した妖怪ちゃんは、なにやら資料をあさり、何枚か抜き取り、コピーを取り始めた。
「ふと思ったんですけど、これどう見えてるんですか?」
「僕からは資料が意志を持ったように見えてる」
「じゃあ紙に書いたりしたら妖怪ちゃんと意思疎通出来ますね」
多分妖怪ちゃんはしたくないだろうけど。
それに何も知らない他の妖精達は多分びっくりする。普通に。
「これ、各界の昔の地図です」
「昔の?」
「はい、500年くらい前の」
めちゃくちゃ前だけど使えるのだろうか。
妖怪ちゃん的には500年なんて短いという認識なのかもしれない。
「500年前の地図、使えそうですかね?」
「500年前て、地形がギリ同じかなレベルっしょ」
「ダメですか……多分ここに地図はこれしかもう無いかと……」
「無いよりはマシだと思いますし、これはありがたく使わせてもらいます」
妖精界はかなり変わっているかもしれないけど、他の界は地形が分かればある程度何とかなるのでは無いかと思う。
それまでに今の地図が見つかるかもしれないし。
外を見るともう日が落ちかけていた。
「妖怪ちゃん、今晩ここに泊めてもらってもいいですか?」
「えー!嬉しいです!ぜひぜひ!」
「食べ物とか無さそうだけど寝るには良いね」
「ママンさんに貰った食料があるじゃないですか」
ひとまずここで1晩休んで、明日からまたトンネルを目指そう。
犯人がオッサンを恨んでいるなら何かまた行動してくるだろうし、現状どうしようもない。
妖怪ちゃんが妖怪界へ帰る手助けをして、1日でもはやくカエルを捕まえないと。
夕飯はママンさんに貰った食料を食べる。
今日中に食べてね、と貰ったお弁当はとても美味しそうだった。
妖怪ちゃんは別に食べなくても良いらしく、私達の泊まる部屋を用意してくれていた。
「ママンのご飯めちゃ美味でしょー!」
「そうですね」
「他の食料は何くれたの?」
「見てみますか?」
リュックから食料を入れた袋を取り出す。
ビスケット、クッキー、乾パン、チョコレート、バームクーヘンetc……どれも口内かパサつく物ばかり。
貰った水分は大体ペットボトル1本程。
「ママンさん……」
「ほら、ママンおっちょこちょいだから」
蛙の子は蛙とはこの事か。
確かに保存は効くけどもう少し選択肢があったはず……いや、ここは貰った事への感謝だけを考えて寝よう。




