3つの種族
「ねぇここってもしかして資料館とか美術館みたいな施設なんじゃない?」
資料館?確かにそう思ってもおかしくは無いくらいに整ってはいるけど、それなら高齢妖精がそうやって言うはず。
「なんでそう思ったんです?」
「ぽくない?」
もしかしたら正しいのかも、なんて事を考えてしまった自分がアホらしい。
このオッサンは所詮この程度の頭だ。
まぁ私もモデルルームかもなんて思ったし、レベルはそう対して変わらないのかも。嫌だな。
「まぁ確かにそれくらい片付いてはいますね」
「でっしょー?明るくて綺麗だしさ!」
「明るい?この屋敷が?」
「うん。雰囲気も照明も明るいじゃん」
オッサンにはこの屋敷が煌びやかで豪勢、雰囲気も明るい居心地の良い屋敷だと言う。
私には、ホラー感満載の不気味な屋敷にしか思えない。
比べてみても、同じ場所にいるとは思えない。
妖精と人間、種族が違うからか、もしくはオッサンが純粋に馬鹿か。
正直どちらでもおかしくは無い。
現時点ではオッサン馬鹿説にしておこう。種族的な違いとかを言い出すとキリがない。
「まぁ、いいです。1階に戻って鍵探しましょ」
「鍵無かったら最悪物理攻撃で開けちゃお」
「不法侵入の末に器物破損は本格的にマズイです。妖精さんが魔法使えばいいのでは」
「よしっ!鍵探すぞー!」
妖精見習いは1回魔法を使うとめちゃくちゃに疲れるからとかいう理由でオッサンは頑なに魔法を使おうとしない。実に使えない奴だ。
1階は広間がほとんどを占めている為、部屋はほとんど無い。
あるのは左にトイレ、大きなお風呂。右に1部屋。
「トイレとお風呂のドア、丸見えですね」
「さすがに僕も趣味が悪いと思ってる」
「お風呂はある所にはありますけど、トイレはダメですよねー」
「地味にラ〇ホ行ったことあるアピールやめて」
アピールしたつもりは無い。というかそこに過剰反応するあたり……お察しです。
スモークガラスとかでも無く、ノーマルなガラスを使っているのがまた変態性を感じさせる。
「右の部屋は何があるんですかね?」
「右に部屋なんか無いんだけど」
「ドアがあるじゃないですか」
「まぼろしー!」
オッサン馬鹿説では無く、種族説の方が濃厚になってきた。
様子を見た感じ、本当にドアが見えていなさそうだ。だとしたら、人間が住む屋敷なのか?
確実に何かあるに違いない。
恐る恐るドアを開ける。
凄く可愛い女の子と目が合った。
「えっ」
「なになになになに!」
「めちゃくちゃ可愛い子がいました」
「ズルくない?なんで僕には見えないのさ!」
私にギャーギャー言われても困る。
しかし妖精なら何故オッサンには見えないのか、それは確かに謎ではある。
再びドアが開いた。次は相手が開けたようだ。
「……で……るの?」
「はい?」
「なん……み……るの?」
「すみません、はっきり話していただけると…」
「なんで見えてるの!!!!」
はっきりを通り越して叫ばれた。
なんで見えているのかと言われましても。
しかし怒っている訳では無い、むしろ逆に見える。
「妖精っぽくないですけど、どなたですか?」
「私、分類的には妖怪になるんですよね……」
「なるほど」
全然わかりません。
妖精には妖怪が見えないのだとしたらやはり種族説で決まりということか。
「私、入る界間違えちゃってたみたいで……それに気付いた時にはもう帰り道わからなくて……妖精の方達は私が何しても見えてないみたいで……」
「家主じゃないって事ですか?」
「はい……ここを煌びやかな感じにしたら、色々な方が来て見える人もいるかな……なんて……」
魔法をかけていたのか。だからオッサンにはこの屋敷が凄く魅力的に見えたのだろう。
私は何故か魔法が解けた状態が見えていたんだろうな。夢見せてくれないのね。
「ねぇー!可愛い子と僕も話したいんだけど」
「妖精には見えない妖怪ちゃんですって」
「私、妖怪界に帰りたくて、妖精さんのサブスクドアを開けて欲しいんです」
出会ったのがこの妖精だった事が運の尽きだったな。残念ながらサブスクドア解約されている妖精だったのだ。
「このオッサン妖精さんはドア使えない系なんですよね」
「そんな妖精いるんですか……?」
「馬鹿ですよねー」
「ちょっと!それ絶対僕のことでしょ、視線感じちゃってるよ!」
妖怪ちゃんはかなり落ち込んだ様子で立ち尽くしている。
妖精が出したサブスクドアを違う妖精が使うことが出来ないというのは前に聞いた。
でもこの妖怪ちゃんは関係ないのか。妖精じゃないもんね。
「それなら、屋敷を出て見かけた妖精に私が声掛けます」
「えっ!変質者じゃん!」
「会話に参加資格のない妖精さんは黙っててください」
「見ず知らずの妖怪を助けてくれるんですか?」
「その代わり、妖精界全体の地図をください」




