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オッサンフェアリーと私  作者: さむぺん
第1章 妖精界
10/26

VS高齢妖精

 ダメだ。絶対ダメだ。

 見た目だけで言うと若い女性に話しかけるヤバいオッサンだし。

 そもそもほぼ初対面の人に話しかけるテンションでは無い。今回は失敗だ。


「おばーちゃんて!アンタの方が歳食ってるように見えるわ、失礼な!」


 ごもっともです。

 今すぐこの場から立ち去りたいと念を込めてオッサンを見つめてみた。

 オッサンはこっちの視線に気付き、ウインクしながら親指を立てた。


「何ふざけてるの!そこの人間も仲間か!」


 最悪な展開にストレートに向かっている。

 穏便に終わらせたいが、最悪物理的に黙ってもらって逃走する他無い。

 プランA、穏便に解決作戦だ。


「うわー、うちの相方がすみませんでした」

「ほんとよ、初対面でおばーちゃんって!あんたらもいい歳してマナーがなってないんじゃないの!」

「名前知らないんだから仕方ない」

「アンタは黙っててください」


 思っていた以上に高齢妖精はブチギレている。

 しかしこちらも負けてはいられない。


「それに関しては本当にすみません、このオッサンにはキツく言い聞かせておきます」

「何の用で呼んできたのか知らないけどいい加減にしなさいよ」

「その用って言うのが、私達地図を探してまして……」


 かなり強引にはなったが、本題に入る事は出来た。

 後はオッサンがこのまま邪魔さえしてこなければ何とかなりそうだ。


「地図?なんでそれがいるのよ」

「諸事情で天精界まで行かないといけないんです」

「ドアを使えばいい話じゃない」


 ごもっともです。

 しかし使えないから地図を欲しているのです。


「そうなんですけど……」

「何?使えない理由でもある訳?」

「解約……されてまして、このオッサンが」

「解約……されちゃいまして、この僕が」


 高齢妖精の顔が引き攣る。

 そらそうだ。ここまで主流なのに解約されているなんて私でも馬鹿だと思う。

 もうここまで来たら同情されにいくしかない。

 ここでプランB、同情心に訴える作戦。


「なので私達は天精界まで歩いて旅をしなければならないんです、だから地図が欲しくて」

「持ってそうなのは高齢妖精だよねという事でおばーちゃんに声掛けたの」


 高齢妖精は顔を引き攣らせたままこちらを見ている。私達にはもうプライドも何も無い。


「多分高齢妖精も地図は持ってない方が多いわよ、やっぱりドアの方が楽だしね」

「手に入れる手段は無いですかね?」

「ここの道をずっと進んだ先に豪邸があるのだけど、そこには沢山の資料があるって聞いた事があるわ」

「ありがとうございます!行ってみます!」


 このまま立ち去ろうとしたのだが、上手くいかなかった。


「その前に、あんた達は常識がなってない!これから旅するならそこから改めないと……」


 高齢妖精のお説教をこれでもかと叩き込まれた私達は気を取り直して豪邸へ向かった。

 色々とあったが、地図の情報を手に入れた以上我々の勝ちである。

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