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劔が煌く夜に  作者: 中村中
力の真実。
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お目覚めですか。

「あ、起きましたか。」


いや、実に平和そうで何よりです。


あたり一帯が焼け野原というか焦土というか、まぁその辺は想像にお任せしますがとにかくそんな感じ。


その点を除けば平和そのものですねん。


空がまた、青いですなー。


俺は仰向けに寝ていた。


「心配しました〜。」


か、春日井さん…!?


先ずはその嘘泣きをやめてください、顔が思いっきり笑ってます。


あ、いや、これは嘘泣きになるのか…?


「チィ、生きてやがったか…。」


はいそこ、あからさまにがっかりした態度を取らない舌打ちしない。


「みんなあなたのことを心配していた、かどうかは知りませんがとにかくー」


「ねぇ、それってひどくね?俺がなんで眠っていたかは知らないけどそれってひどくね?心配していたかどうかは、なんて俺の目の前で言います普通?しかもそこのおじょおごー」


いきなり言いようのない不快感と、無理矢理口を開こうとする衝動が俺を襲う。


何かが口から出ようとしているのだろう。


一体何が?


俺の身体に何が起こっているんだ?


まさか今まで俺の食道を登ってきていたのか!?


ここにきてゲロりんぱは流石に厳しいぞ、社会的に。


でも気持ち悪い、気持ち悪すぎる。


もちろんのこと三人とも目を逸らしている。


口が裂けそうです、痛いです、正直なところ。


「ごがごぐが…。」


なるほど、富士さんの言葉の意味が漸くわかった。


つまり、心配してくれていたわけではないのだが、あえてその点を誤魔化そうと。


何にせよみんな薄情者だよチキショウ。


「おえっ…。」


何でいつも俺だけこんな目に合うんだ…。


そして口から出たものは、嘔吐物などではなく。



『お前はいちいち細かいんだよ。』


ロキだった。


『てかなんでみんな目逸らしてんの?まさかサネ、またお前何かやらかしたのか!』


「お前が口から出てくるからだろうがっ!それにまたって何だまたってっ!何か違う誤解を招くような言い方するなっ!」


身体を起こして怒鳴る。


一通り怒鳴り終わってから気付く、全身の痛みに。


「ぅごぁぉぉぉ…!?」


自分の身体を抱くようにして身悶える。


どうやら全身の感覚、いわゆる痛覚とやらが麻痺していたらしい。


それが今このタイミングで元に戻った、というわけである。


「元気そうで何よりです、はい。」


「良かった〜。」


「ふくくくく…。」


誰が元気だよどこが元気だよどこからどう見ても怪我人でしょうが。


服の上からじゃ怪我してるかどうかなんてわかんないけどさ、流石に。


自分でも怖くて自分の身体なんか見てない、てか動いたら痛いので見れないんだけどさ。


てかあんたは何でさっきから笑いを堪えているんだ佐々木さん。


堪えきれてねぇし。


「とにかく、あなたには聞きたいことが沢山、と言う程でもなかったり実はそうでなかったりしますがあるんです。」


俺のこの状況は見て見ぬ振りですね本当にありがとうございました。


「曖昧すぎるだろ、今の。」


一応突っ込みを入れておく。


てか全身が痛いですどうにかして下さい割とマジで。


「そうですね〜。いったん場所移動しましょうよ〜。」


俺のことは放置ですかそうですか。


『あー、甘いもの食いて〜。』


お前はまず空気を読め空気を。



「じゃあ行きますか。」


三人は歩いてその場を去ろうとする。


その三人とはつまり、富士さんと春日井さんと佐々木さん。


うん、俺は置いてけぼりなんですね。


いやぁ、予想通りで笑えてくる…。


「ってちょっと待てぇいっ!」


「そのノリツッコミは未だ健在、ですね。」


「ウゼェ…。」


「はいそこ、ウザいとか言わない。青少年の教育に著しい何やらを与えるぞ。」


『そこアバウトにする意味よ。』


ロキの突っ込みは基本的に無視。


周りからは見えてないし聞こえてない。


要は、一人芝居やってるみたいで恥ずかしいからだ。


あれ、これ前もなんか愚痴ってた気がするな。


しかし気にしない、てかしてたまるか。


何せそれが俺クオリティ。


『おい、一人でドヤ顔とかマジやめろ。気持ち悪いダサいウザいめんどくさい眠いだるいさー』


「言い過ぎじゃっ!てか後半ほとんど自分の愚痴だろぅぐっ…!」


大声あげるだけで身体中を駆け巡るこの痛み。


本当にいったいどうしてこんな…傷?怪我?どっちでもいいが、とにかく記憶にない。


『で、問題は。あいつらに置いていかれたってことだ。』


ロキの指差す方向を、恐る恐る見る。


あの方達は本当に人の子なのだろうか。


こちらに目もくれずただただ歩いて向こうへ行ってしまう。


その距離実に50m、いや、それ以上。


今の俺は動けない。


どうやっても追いつけない。


俺が痛みを我慢して無理にでも走ればいいのだろうが、とうにそのレベルの痛みは超越してしまっている、初めから。


「さて、どうしたものか…。」


俺の中では既に諦めが90%を占めている。


打開策など、皆無。


『俺に考えがあるんだが?』


何か、何かないのか、この場を打開できる案は…。


『おーい、聞いてますー?』


痛みに耐えるのが精一杯で頭が回らない回せない。


『人の話を聞けぇーっ!』


「人の耳元で叫ぶんじゃねぇっ!鼓膜破れたらどうするんだっ!」


なんか怒鳴られたので怒鳴り返した。


再び襲う耐え難い痛み。


耐え難いだけで、結局は耐えるしか対処のしようがないなんて…。


人間って不便だなぁ。


『…。』


おや、どこからか殺気が。



その間にも三人は着々と俺たちから遠ざかって行く。


時折、風に乗って聞こえてくる談笑の声が俺を徐々にイライラさせる。


聞こえてくる気がするだけかもしれないし、俺の思い込みかもしれない。


それでもやっぱりイライラする。


『…。』


背後から熱烈な視線を感じる。


『へっくしゅんっ!』


くしゃみが聞こえた。


『ふわぁ〜ぁ。』


今度はあくび。


極め付けにボリボリと身体を掻く音。


「あぁもううっとうしいなっ!」


『お前が無視するからだろ。ある意味自業自得だろ。バカだろ。頭悪いだろ。』


後半がただの侮辱なのはいつものことなので放置するにして、確かに少しは自業自得だな、と思ってしまった自分が憎い。


「なんかあんの?」


寝転がったままの俺は今は無防備。


誰に襲われても対応できない。


でも襲われるなら女の人がいいな〜、特に年上。


変移(チェンジ)使えばいいじゃん。』


なるほど、要するにこいつは実体化して自由を謳歌するつもりか。


貴様の根端は読めたぞ、策士ロキよ。


残念だがお前の思う通りにいくと思うなよ。


『いや、違うから。』


「否定するとはますますをもって怪しいな。」


『この場合って否定してもしなくても怪しいって言われるパターンだろ。理不尽極まりない。』


すごく不貞腐れてるぞ、この人。


今まで三年間一緒に過ごしてきたが、こんな表情もとい態度を見たのは初めてだ。


「わかった、わかったからそんな表情するな。で、アイディアって?」


『人の話を聞いてましたか実親さん。』


態度が一気によそよそしくなったぞ。


俺のちょっとした気遣い返せバカヤロウ。


しかしこれはヤバい、経験則で言うと何かが起こる前触れだ…たぶん。


にしても空が青いぜ。


「あー、あれだろ?えー」


『聞いてなかったのはわかってます。あと一度しか言わないからよく聞いて下さいね。』


とりあえずまずはその口調をどうにかしようか。


違和感からの気持ち悪さが半端じゃない。


『とりあえず、さっきみたく変移(チェンジ)って言やぁいぃんだよ。』


「あー、さっき言ってたやつか。だからそれはお前がー」


『だぁから違うっつってんだろ。ほら、さっさとしないとあいつらに追いつけなくなるぞ。いくらここが遮蔽物のない場所だからってあんなに小さく見えてたらヤバいだろ。』


「オゥマイガッ!」


自分とあいつらとの距離がもう測れない。


目測すらできない距離。


『俺が連れてってやるから。』


なんだか嫌に優しいぞ、こいつ。


嫌な予感がするのは俺だけか…?


あ、そういえばこの場には俺しかいないんだった。


「絶対何か企んでるだろお前。」


『それはねぇっての。いや、まぁ確かに実体化した喜びをもう一度味わいたいってのはあるけども。むしろそれだけだ。』


この必死さは本物だろう。


まぁいいや、どうにでもなれ。


変移(チェンジ)。」

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