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衝撃
職場は退職の一ヶ月前に退職願を出すことになっていた。人事部から書類の束を渡された。終わるんだなあとぼんやり思った。愛犬を亡くしていたたまれない状態で就職して、まさかこんな理由で辞めるなんて。まさか、私が恋に落ちてしまうなんて。恋ができるなんて。書類の束が恨めしかった。
七月末、彼とはシフトが合わず一週間ほど顔も見なかった。さみしかったけれど、連休を取っているしどうせ彼女と楽しんでるんだろうと思っていた。
退職の書類に印鑑を押し提出した。終わりを意識した。未練がかけめぐった。でもここにはいられない。彼がいるから。
月末、久しぶりに顔を見た。様子がおかしかった。会うのなんだか、久しぶりですよねと言いながらすぐそばに来て小声で彼は言った。
「あとで、話しきいてください。プライベートなことなんで。めっちゃキツイです」
顔色も変えずに、いいよと答えた。彼女に妊娠の疑いでもあるのかと思った。だから聞きたくなかった。できるだけ、仕事の中でも避けた。現場であっても絡んでもこない様子がおかしいとは思った。夕方近くなりこの日の最後の要件を済ませた後、彼は絞り出すように言った。
「彼女と、終わりそうなんです。彼女、なんか末期症状で」




