11/87
バレンタインデー
自分の中で混乱している恋心と付き合いながら、仕事を続けていた。彼には彼女がいる、そして私はその秘密を知っている。誰に対してかわからない優越感を感じながら、見たこともない彼女を想像しては嫉妬に苦しむ。
どんな子なんだろう、どんなタイプで、髪は?背丈は?若い女の子とすれ違うたびに、こんな子だろうかと考えてしまう。すでに私の感情はドロ沼にはまり込んでいた。
それでもバレンタインデーは、外せない。私の事を少しでもわかってくれていると思っているから、ただそれだけを口実にバレンタインのプレゼントを用意した。甘いものが苦手だから、チョコレートがプリントされた付箋とおしゃれな栞。そのまま手渡すわけにもいかず、別の用事にこじ付けて内封した。翌日、びっくりしたとメールがあった。でもホワイトデーにお返しはなかった。
二月も月終わりになる頃、彼が同僚と話しているのを聞いてしまった。
来月、5日連休もらうんで
ぴんときてしまった。女子大生の彼女との卒業旅行。




