10/87
彼女
僕、彼女います
電話の向こうから聞こえてきた彼の声は忘れられない。ほとんどの人は知らないんですよ、詮索されたくなくてね、でもあなたには知っていてほしくて、と彼は続けた。頭の中が白くなっていくのを覚えながら、4歳年下で管理栄養士になる子で、今はまだ女子大生で、紹介で知り合ったんですよと話を聞いていた。夜も更けて、じゃあね、おやすみなさいと電話を切ったあと、複雑な気分で眠れなかった。
そういえば、クリスマスも連休とっていた。落ち着いた佇まいはパートナーがいる証拠。でもでも、なんなのこの重苦しい胸の内は?
あなたには知っていてほしかった…ってどういうこと?なにより彼女がいて当然で、なぜこんなに動揺しているのか、彼女がもしいなかったとして、どうなるの?私には夫もいて家族もあって、好きだけれど…,。どうしようもない想いは、どうしようもない。諦めるしかないことくらい、わかっているはず。
家族がある、夫がいる。22歳も年下なのに。




