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御神先生の秘蔵っ子─世界編  作者: 蒼良美月
第四楽章 革命のエチュード

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40/75

40.目には目を   

 その頃、ある一室では珍しいツーショットの中、話し合いとも言えない交渉が繰り広げられていた。


「Schon, dich wiederzusehen, Verrater.」※ドイツ語以下日本語にて表記します※

(再会出来て嬉しいよ。裏切り者)


 ※「空いているメンバーを貸して欲しい」


 ※「ハハハッ。手ぶらで来ていきなりかい? 天下の御神 貴志ともあろう御方が?」


 ドイツフィルハーモニー財団の会長であるデニス・フリードマンは、いやらしい高笑いをする。


 ※「礼ならする。20人、いや10人で構わない。貸して欲しい」


 タバコの煙を自分に吹きかけてくる目の前の男に頭を下げる。


 ※「君のそんな姿は見たくないよ。サインしなさい。5年契約でどうだ?」


 ※「ここに戻るつもりはない」


 ※「ならこの話はなかったことに。帰りたまえ」


 ※「デニス音楽を愛していたと思ったんだけどな。哀れだよ金で動くようなお前の元に居る奴らが」


 ※「慈善事業じゃないんでね。金が掛かることは君も分かっているだろ?」


 ※「邪魔したな」


 ※「タカシ。戻って来なさい」


 ※「じゃあな」


 ※「1年でいい」


 ※「お前の目指す道と俺が目指す道は違うんだよ。俺は生涯音楽家でいたいんだよ。じゃあな」



 ──トントン


 ※「デニス会長! 大変です!!」


 ※「なんだね。今は大事な客が来ていると言ったはず。誰も部屋に近づくなと!」


 ※「緊急事態です! テレビ! テレビ見てください!!」


 その声に、デニスは仕方なく部屋のテレビを付ける。


 ◆◇



 ※『自動車メーカーアーレン社、日本の企業MiKamiと業務提携に合意』

 ※『アーレン自動車、御神グループと業務提携により、ドイツ国内シェア第三位にあがるか?』

 ※『アーレン自動車、御神と提携決定!』


 ※「どういうことだね? 御神グループと言えば君の父上か」


 ※「さぁ? 聞いてないから分からん」


 遅えよ、仕事が。まさかアーレン選ぶとはな。

 これでグラスノー社の株価が紙切れ同然に一時暴落するはず。


 ※「何なら、融資先紹介してやろうか? 昔のよしみで? ハハハッ。それともまだグラスノー頼るか?」


 ※「あれだけ君が嫌っていた御神を頼るのか」


 ※「慈善事業じゃないんでね。金が掛かることはご存じでしょう? 此処が火の車だってことぐらい調べれば直ぐ分かるんだよ。グラスノーいなくなってやっていけるとでも?」


 ※「何人だ」


 ※「とりあえず30でいいよ。希望者早急に募れ専属契約で。ここに戻ることは出来ないが、ドイツフィルが日本公演する時は()()()メンバー貸してやる。融資に関しては俺に決定権はないが、交渉の場は用意する。運転資金に契約金として円で3000万、後日正式に佐々木に契約書持ってこさせる」


 ※「最初からそのつもりで来たのか」


 ※「手ぶらで来る程、暇じゃないんでね。15時までに30人。弦15、管15用意しろ」



 ──トントントン


「タカシ!!」


 ※「もう一人裏切り者が増えたようだな」


 ──ガチャ



「タカシ! やめろ! こんな奴の所へなんか!」


「あ、ちょうどいいや、ユーリ。15時までに30人オーディションしてこい」


「え?」


 ※「()()()デニス会長が30人専属契約でウチに譲ってくれるらしいから」


 ※「は?? どういうことだ?」


「あと頼んだ。15時までには連れて来いよ。リハ15時に通すから。じゃあな。まだやることあるから俺」


 それだけ言い残し、颯爽と去って行った神の背をユーリは、何が起こったのか分からず、ただ呆然と見つめていた。






 ◇




 その頃、ホテルで待機していた高科と天野は、不安で泣きそうな顔をしている姫を交代で見守ることで精一杯だった。


『送信者M・T』


「貴志?」


 高科は急いでメールを開く。


『弦15、管15これからユーリにオーデションさすから、ヒューイら数名を助っ人として行かせて。詳細はユーリに現地で聞くようにってドイツフィルへ向かわせて』


 どういう意味だこれ?


 急いで高科は、電話を掛けるが話し中だった為、仕方なくメール内容をヒューイに話した。

 ヒューイからユーリに電話を掛け詳細を話すと言うことで、その件は任せることにしたが、意味が分からず呆然としていた。


『送信者M・T』


『悪い、電話ちょっと出れない。15時からリハするからそのつもりで全員に通告して。それまでに俺も帰る。もう少しやることあるから。花音頼んだぞ』


『お前の移籍は無いんだよな?』

『無い。やっても客演の数本しか受けない』



 ◇



 高科はメール内容を花音と天野に見せた。


「とりあえず最悪の事態は避けれたみたいだな。良かったな桜井」


「……先生」


「ほら、ちゃんと食べて。15時からリハだからそれまでに気持ち切り替える。いいね?」


「はい……」


 高科先生の言葉に、もっと私もしっかりしないと。と、反省した。

 緊急事態にも関わらず、直ぐに動きオケ全員を救ってくれた先生の行動力に感謝と、その行動に報いる為にも、私に与えられた仕事を全うしよう。


「高科先生。これ」


 天野先生が、高科先生に何やら? スマホの画面を見せている。


「ん? は? えええええええええ!!」


 高科先生が珍しく大きな声を出したので驚き、顔を見る。


「流石魔王だな」

「絶対逆らわない。俺、抹殺される」


「どうしたんですか?」


「いえ? 何でもないですよ? ささ姫はお食事をはじめてください?」


 天野先生? そのトゲのある言い方……


「ちょっとマイヤーに俺、同情するわ……」

「相手間違えましたね……」


「そもそも、アイツが利用した訳だからなぁ元はと言えば」

「それを言ってしまえば……利用される方にも問題ありますし」


「株価見て下さいよ……」

「怖っ」


 その日、グラスノー家の主力である「自動車」部門だけでなく、他の分野の株価も連鎖を起こし暴落した。軒並みストップ安表示が出た画面に高科と天野は驚愕していた。





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力が想いを纏い、その威力を十全に振るう 強大な魔力を内包した大魔王が戦術級の超魔法を使うかのごとく、勢力図を一気に書き換えてしまう迫力 ド派手な戦闘描写がなくても爽快感を伴うカタルシスって得られる…
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