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御神先生の秘蔵っ子─世界編  作者: 蒼良美月
第四楽章 革命のエチュード

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36.憧れのドイツ(2) 

 ──フランクフルト空港に迎えに来てくれていた、ドイツフィルメンバーと、ミシェルさんの奥様や、ヒューイさんの妹さんにも挨拶を終え、先生の事務所のマネージャーさんのお迎えで私と先生は一足先にホテルに到着した。

 

 先生ってこっちにも車持っていたことに驚き。


「ドイツ。ドイツ~~」

「1時間後ミーティングです。それまでに荷物整理済ませろよ」


「……」


 ふかふかのベッドにダイブしたら先生に怒られた。


 出国前に、着替えなど必要な物を先に送っていたのが、ちゃんと部屋に先程届けられた。


「先生って本当に荷物少ないですよねえ?」


「アパートメントあるから」


「ぇ?」


「何年こっちに居たと思ってるんだよ」 


「え? こっちにもお家あるんですか?」


 そっか。先生ってずっとホテル暮らししてたのかと思ったけど、違うんだ。

 知らなかった……


 車もあるしねぇ。10年ドイツに住んでたんだし当然と言えば当然か?


「今、ユーリが使ってるけどな」

「行ってみたいいいい!!」


「あの阿呆が居ない時な」

「阿呆って……」


 先生ってユーリさんに対して冷たい言い方はするけれど、結構でも優しい?

 お部屋も貸してあげてるぐらいだし?


「そもそもお前の部屋は隣な」


「何か言いましたか?」


「ここ俺の部屋。貴女の部屋は隣です」


「こっち部屋いっぱいあるんだから? 良いじゃないですか~~」


「結局あっち衣装部屋になるのかよ……」


「それ名案ですね!」


 先生に頭を軽く叩かれた。

 だって一人だと淋しいもん!




 ◇




 ミーティングで、明日からの簡単な日程と練習場の説明などを受け解散した。


「飯食いに行くぞ」


「やったーーーー!! ドイツ観光!」


「高科と天野も一緒に行くから。日本と違って夜寒いぞ。羽織れる物もっとけよ」


「そうなんですか?」


「日中は25度ぐらいに上がっても夜15度以下になることあるから」


 うわ~~そんなに温度差あるんだ!!

 でも先生いると便利~~

 案内役要らないし~~





 ◇




「天野って何年振り? ドイツ」

「もう10年ぐらいになるかも」


 天野先生と高科先生に合流する。


「高科先生ってドイツに留学されてたんですよねえ?」


 天野先生は、先生と同じでニューヨークだけど、高科先生はドイツの学校を卒業したと聞いた。


「もうかなり前だけどなぁ」


「先生がデビューしたプラハって()()()の何処ですか?」


「……」

「貴志……」


「天野」


 え?


 何か微妙な空気が……



「プラハはドイツじゃなくて()()()です。そして御神先生のバイオリンでのプロデビューはドイツの()()()()()です。君が聴いていたCDは、初ツアーの()()()()()()内のプラハでの演奏をシングルカットした物です」


「え?」


 天野先生の呆れた顔と、先生の苦笑いと、高科先生の哀れむ顔が突き刺さる。


「何で言ってくれなかったんですかあああ!! 先生!」


「違いが分からないだろ。どうせお前」


 えええええええ!!


「早く言って欲しかった……」


「ドイツでデビューしてるのは知ってたろ」

「……」

「何でそれと、プラハが繋がるのかは俺には理解できないけど」

「……」



 ─◇


「算数以外に地図も教えたほうが良かったですかねぇ?」


 天野先生……


「無理だろ」

「足し算、出来ないですしね」

「楽譜読めればいいんだよ」


「大変だったんですよ?」

「給料歩合制に変更しましょうか?」

「お金に困ってませんので」


 そこ二人ぃいいいいいい!

 失礼だろぉ!!


 ねぇ? 高科先生は優しいですよね?

 お母さんですし?


「……日本語微妙なのに、英語大丈夫かなぁ……」


 高科先生!!






 ◇




「やったーーー! ウインナー!!」


 ウィンナーやポテト、ザワークラウトなどのドイツ料理がテーブルいっぱいに並ぶ。

 これぞドイツ!


 先生がザワークラウトを自分の目の前から天野先生の前に押し出すように置く。


「え?」


 天野先生が少し驚いた顔して先生を見た。


「お嫌いなんですか?」

「旨いかこれ? 鳥の餌だろ」

「……餌って御神先生」


 先生ってそう言えば、酸っぱいものってあまり好きじゃないような?


「ポテトサラダないですよ?」

「売ってるんだよ」

「え?」

「またな」


 珍しくアルコールを飲む先生と高科先生達のドイツ時代生活の話しを聞きながら、楽しい食事の時間が過ごせた。





 ◇




 ドイツの朝って寒っ!


「せんせ~~朝ですよ」

「おやすみ」


「おやすみじゃないですって。起きて~~」

「朝飯、1番鳴らしたら持ってくるから。おやすみ」


 むぅうう。

 飲み過ぎでしょう!!


 まぁ、たまには仕方ないか。


 朝ごっはん~~ 

 楽しみ~~

 って……ドイツ語分からないんですけど。


 取り敢えず先生に言われたように、ルームサービスを頼む為に電話を掛ける。

 どうしよ……ドキドキが最高潮になる。


 これ、舞台出る前よりドキドキしてるかも……


 ◇


『えっと……あ、日本語だめか? ジャパニーズ駄目?』


『Do you need any assistance?』

(何かお困りですか?)


『英語? あ、モーニング、イート ん? 違うか?』


『Room service for breakfast?』

(朝食のルームサービスですか?)


『イエス! イエス! イエス!!』


『"Are we in the mood for Chinese, French, or shall we leave it up to the chef?"』

(中華料理? フランス料理? それともお任せにしますか?)


 うん? チャイ?? フランス? だけ、聞こえたような?


『イエス、イエス!』


『Understood. I will bring it as soon as it's ready.』

(ご用意でき次第、お持ちしますね)


 ◇



 私って凄くない?

 一人でルームサービス注文出来たことない? これって!!

 天才かも!!


 暫く待つと、お部屋に運んで来てくれた。


 私、天才だわ!


 未だスヤスヤ眠り()に勝ち誇るように、見下ろした。


「見たか! フフフッ 天才花音様を!」




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