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御神先生の秘蔵っ子─世界編  作者: 蒼良美月
第二楽章 誘惑の旋律

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13/92

13.贖罪  

 ──ガチャ


 玄関を開け、靴があることに安堵した。

 真っ暗なリビングのドアを開ける。

 電気をつけ、テーブルに買い物した袋を置く。


 そして寝室のドアをゆっくり開けた。


 カタツムリを見つけて思わず急ぎ近づく。


「馬鹿が……」


 布団の上から撫でるが、泣き疲れて寝てしまった愛しい女を抱きしめる手を止めた。

 立ち上がろうとした瞬間だった。



「せんせ?」


 真っ赤な目で見つめてくる女を、ただ抱きしめることしか出来なかった。

 一瞬(よぎ)ぎった愚かな感情に、自分でも呆れていた。


「腕は?」


「ごめんなさい……」


「痛みは?」


「今は大丈夫です」


「怒ってます?」


「ちょっと」


 やっぱり出て行けって言われるんだろうか……


「座れるか?」


 いつもの優しい顔をした先生の胸に再度飛びつく。


「あんまり心配かけるなよ」


「ぇ?」


 え? 怒ってるんじゃないの?


「え? 出て行けって言われると思って」

「は? 何でそうなるんだよ」


「ぇ?」

「プリン食うか?」


「へ?」

「お見舞い」


「え?」


 照れくさそうに笑った先生に抱きついた。


「い、痛っ」

「気をつけろよ。もう少し」


「すいません……」


「風呂入るぞ。温めてからマッサージしてやるから」


「へ?]


 いや、……それって一緒に入るってこと?

 無理無理。絶対無理!


「髪洗い難いだろ。特別に洗ってやろう」


「は?」


「嫌なのかよ」


「い、嫌とかではなくてですねぇ、は? え? その……は、恥ずかしい?」


「今更だろ? 心配するな。怪我人襲う程鬼畜じゃないから」


 い、いやそういうことではなくてですね?

 明るい中でとか……

 いや? それとも違うか……


「きゃーーーせ、せんせいい、おろしてぇええ」

「やだ」


 そのまま浴室に連行され、神に醜態を晒すと言う、罰ゲームが開始された。


「せ、せんせい。む、無理です、も、もう」


「ならベッド行くか?」


「……」


「冗談です」


「ひどおおおおおおおい!」


 やっぱり悪魔だ……


 ニヤニヤ笑う先生の顔をじっくり恥ずかしさで直視できない。

 何故か敗北感が……


 拷問の時間がなんとか終了し、至福のご褒美タイムが。

 何と神が私の髪の毛を乾かしてくれると言う素晴らしいオプションが!


「何日って言われた?」

「一週間⋯⋯」


「一人で留守番は⋯⋯無理か」


 先生が苦笑いする。

 無理ではないですが、寂しいです⋯⋯


「流石に1週間は空けれない」


 ですよね⋯⋯


「出来るだけ早めに帰るし、由紀に子守頼んでやるよ」


「子守って⋯⋯」


「園児と変わらないレベルだろ」


 笑いながら頭を撫でてくれる先生に、ちょっと複雑だった⋯⋯


「練習時間は必ず守ること。自己練は俺が決めた練習しかやらない。守るように」


「はい⋯⋯すいません」


「ユーリについていける訳ないだろ。キャリアどれだけ差があると思ってるんだよ阿呆」


「すいません……」


 先生に額に軽くデコピンされた。


「痛いです」


「俺はもっと痛かった。阿保」


「ぇ?」  


 強く抱きしめられ唇を塞がれたが、普段より強く奥まで入ってくる先生に驚いたが、先生が言った痛みに(あなが)う隙は与えられなかった。


 本当にごめんなさい……


 そのまま抱き上げられ、寝室のベッドに下ろされた。


「ぇ?」


 ゆっくり(まぶた)を開くと、優しい瞳で先生が微笑む。


 と、思った瞬間。


 彼の唇と指先が全身を優しく撫でる。

 その夜、彼は私の悦びの為だけに下僕となった。


 薄暗い静かな部屋で、止められることなく卑猥な音だけが続く空間。

 既に何度も限界に達し自由を奪われる中、尚も誘導され意識が遠のきそうになった時、耳元で囁かれた。


「一週間尽くしてやるよ」


「……」


 暗い中、彼の濡れた唇がゆっくり離され妖艶な笑みを浮かべた。


「嫌?」


「……」


 抗えない私に一層激しくなり、恥ずかしさを忘れるぐらい白い世界に堕ちていく……

 彼の痺れるような媚薬に私は隷属となり下がった──






 ◇






 本当に神はまるで下僕のように私を甘やかした。


「先生、自分で食べれます……」


「あ?」


「……いやそこまでしてくれなくても」


「うるさいよ?」


「……」


 食事を自分で食べることも許さず、着替えさえも神により手伝われ、全てが神により甘やかされた。



「せんせ? 好き?」


「愛してる」


 嘘!


 今まで、いつも上手く逃げられてたのに!


「たまにはケガするのも良いかも……」


「お前本気で言ってるのかそれ」


「すいません、冗談で御座います」


 こ、怖っ。ごめんなさい。先生に心配して貰えるのがちょっとだけ嬉しかっただけです……


「10時に由紀が来るから。あと家政婦さん以外、人が来ても絶対ドア開けるなよ。外出する際は行き先と、必ず出る前と帰ってから連絡しろ」


「……しますけど。子供じゃないんですから大丈夫ですよ?」


「あ?」


「すいません……」


 怖いです。先生……


「飴くれるって知らない人に言われても絶対ついて行くなよ」


「……流石にそこまでは……」


 いくらなんでもそれは無いですよ先生。


「あ? お前知らない人の家に泊まったろ? あれ、たまたま良い人だったから良かったものを、何処かに売り飛ばされてたらどうするつもりだったんだよ? 阿呆か」


「そ、そのようなことも御座いましたねぇ?」


「今度黙って出て行ったら二度と迎えに行かないからな」


「……はい」


「そろそろ時間。良い子にしてなさい。じゃあな」


 先生が優しく頬に口づけして去ろうとしたので、その手を引っ張る。


「もう一回して?」


「辛くなるから駄目。じゃあな」


 先生が頭を撫でてくれ、足早に部屋を出て行った。


 辛くなるって?

 どういう意味なんだろう?


 行っちゃった……



 やばーああーーい!

 時間が!!


 時計の針を見て驚愕した!

 あと三十分しかない!!


 急いで化粧を少しして髪を整え出掛ける準備をする。


 ちょっと緊張するけど、初めての女性とのデートにちょっとワクワクしていた。

 もしかしたら、お姉さんになる? かもしれない人とデートだなんて!


 何処に行くんだろう?

 行き先は由紀様にお任せとはなっているんだけど……






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― 新着の感想 ―
あらあらまあまあ 花音さんったら、もう かわよ 未だ御神先生の思う所を理解しきれず、不安に苛まれ自己嫌悪に塞ぎ込む姿は 年相応と感じる一方で……「はよ大人の女になってくれぇ!」とハラハラさせられます…
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