動き出す戦力
リライアでの挙兵準備が始まった。
新たに兵を募集し、ジェラルドに頼んで元ベルナップ領だったリライアンス西地区からも人を集める。
その結果、リライアンスの保有兵力は千二百となった。
挙兵当初と比べれば約二倍だ。
しかし、数は敵の足元にも及ばない。
兵の質を高めるため、二百ずつ六部隊に分けて訓練を行った。
第一部隊、アイザック遊撃兵隊。
ザックを隊長とした遊撃隊で、屈強な戦士を集めて編成した。
第二部隊、ガイ重装兵部隊。
ガイを隊長とし、元レグナート重装兵を中心に編成。
第三部隊、レオン騎兵部隊。
レオンを隊長とし、機動力を重視した部隊だ。
第四部隊、クリス騎兵部隊。
こちらも機動力の高い騎兵部隊。
第五部隊、シーザー歩兵部隊。
シーザーを中心とした歩兵部隊で、ガイ重装兵部隊の支援を担う。
そして――
第六部隊、アスペン魔砲筒部隊。
今回の作戦における要となる部隊だ。
ソフィアの作った魔法道具、魔砲筒を使った攻撃部隊である。
各部隊が訓練を始める中、
俺は要となるアスペンの部隊を見に行くことにした。
広場に乾いた音が響いていた。
「構え、撃て!」
アスペンが号令を掛ける。
離れた場所に設置された的に弾が当たり、弾けた。
的に当たった弾は木板を貫通し、後ろの土壁にめり込んだ。
新兵たちが小さくどよめく。
「構えの時、もう少し脇を締めて。照準が狂ってるよ」
「はい、アスペン隊長」
兵に指導している姿を眺めていると、こちらに気付いたアスペンが駆け寄って来た。
「マスター、いらっしゃっていたんですね」
「ああ。この部隊は作戦の要だからな」
また、乾いた音が響く。
「どのくらいまで鍛えられた?」
「ええ、まだ六割といったところです。もう少し時間が必要です」
少し俯いたアスペンの肩に手を置いた。
「今の段階で六割なら上々だよ。まだ時間はある、しっかりやってくれ」
「はっ!」
俺の言葉に、アスペンは力強く応えた。
ザックは一人一人と組み手をしていた。
「それじゃあ駄目だな。もっと本気で来ないと死ぬぞ?」
「は、はいっ!」
相手をしている兵たちは肩で息をしている。
「ほら、次!」
「はい!」
模造刀を振り上げるが、腕を掴まれ、そのまま投げ飛ばされた。
「もっと気合い入れて打ってこい!」
投げ飛ばされた兵士は転がりながら、
「は、はい……」
苦しそうに声を出した。
「ザック、ちょっといいか?」
声を掛けると、ザックは溜め息をついてこちらに近づいて来た。
「何だよ?」
「どうだ? 戦力になりそうか?」
俺の質問をザックは笑い飛ばした。
「思ったより、こいつら根性あるからな」
それを聞いて少し安心する。
「まあ、今のままじゃすぐ死ぬけどな」
そう言って、ザックは顔つきを変えた。
「頼むぞ。遊撃部隊はお前にかかってるんだから」
ザックは少し目を見開いたが、俺を真っ直ぐ見て鼻から息を吐いた。
「言うようになったな?」
「そうか? 俺はただ……」
言葉を続けようとする俺を手で制して、
「ああ、わかってるよ。マスター」
そう言って、ザックは訓練に戻って行った。
開戦が刻一刻と迫っていた。
ミリアの魔力が枯渇する日まで、あと二十日。
それまでに、戦力をできる限り練り上げる。
――間に合わなければ、負ける。




