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傷を負うのは俺だけでいい――お前の我儘に付き合ってやるよ  作者: 魔法使いの弟子スオウ
第三章 リライアンス統一戦役

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白霧の街ロウル・ブルグ

「では、本題に入りましょうか」


 先程まで、にこやかだったエドマンドの顔が引き締まった。


「エギルの使者が来たと思うが……」


「ロウルですね?」


 俺が頷くと、横にいたエギルが話し始めた。


「ロウルの地は北の要所となります。是非こちらの陣営に加えたいのです」


「領主のベネディクトは頭の回る人だから、話は聞いてくれると思いますが」


 だが、それでは足りない。


「確実に、こちらの陣営に加えるためにエドマンドに同行してもらいたい」


 エドマンドの目を真っ直ぐ見て、そう言った。


「かしこまりました。私でよければ同行させていただきます。マスター」


 エドマンドはそう言って深く頭を下げた。


「では、よろしく頼む。ミリア、行こうか」


 そう言って、俺とミリアが立ち上がるとエドマンドが目を丸くした。


「あの、どちらへ?」


「いや、ギルドホームに寄って行こうと思ってな」


 エドマンドの視線が一瞬宙を彷徨い、


「ああ、駐在所ですか」


 そう言って、手を鳴らした。


「なによ? 駐在所って?」


「いや、あなた方のギルドホームはグロック駐在官が駐在所として利用されてますので、今はそう呼ばれてますよ」


 エドマンドの視線がミリアに移る。


「駐在所……そこで何してんの?」


「主にギルド本部会議用の資料作りや、リライアへの報告書作りですね」


 そうか、こちらとエドマンドをしっかり繋ごうとしてくれてるんだな。


「中は凄惨な状況でしたので、ギルド本部からも応援を出して改築させていただいてます」


「そうか、すまないな」


 俺とミリア、それからクリスがグロックとニーナに続いて駐在所に向かった。


 エギルは残ってエドマンドと打ち合わせをしている。

 ソフィアはまあ、エギルに引っ付いたままだった。


 ギルドホームに着いて驚いた。

 壊された門はしっかりした構えに作り直されていて、内装も豪華になっていた。


 キャッシュの血で濡れていたあのフロアも、綺麗に改装されていて、惨劇のあとは見当たらなかった。


「これは……すごいな」


「エドマンド本部長の計らいで、改装していただいたんです」


 そう言ったニーナの瞳は、どこか遠くを見ていた。


 内装が綺麗になっても、あの惨劇は記憶として残る。

 その瞳が今を見つめられるようになるのは、もう少し後のことになるかもしれない。


「ここが、執務室なんです」


 中央に立派な机が用意されていて、駐在官の名札が立てられていた。


「へえ、いい部屋じゃないか」


 そう言ってグロックを見ると、どこか誇らしげな表情をしていた。


 この二人も頑張ってくれている。

 もっと努力して、暮らしやすい国にしていかなければならない……。


 俺は改めて、自分の仕事の重要さを確認した。

 守るべきものは、確実に増えている。


 駐在所を出てギルド本部前で馬車に乗る。

 エドマンドも別の馬車に乗り込み、行列はロウルに向けて出発した。


「ニーナ、まだ元気なかったわね」


「うん、今はグロックがいる。きっと前を向いてくれるよ」


 そう言うと、ミリアは俺の肩に頭を預けて、少し肩を震わせていた。


 そこからの旅は、順調に進んだ。

 まあ、この行列を襲おうなんて盗賊はいないし、魔物だって避けるだろう。


 途中の町で夜を明かし、走り続けるとロウル領の都市ロウル・ブルグに着いた。


 ロウル・ブルグは白霧の街と呼ばれるほど、濃い霧に包まれていた。

 そのためか、道が綺麗に整備されていた。

 建物は長方形のものが多く、どこか無骨なイメージがある。


 先に到着したクリスが話をつけてくれていたので、ロウル・ブルグにはすんなり入れた。


 街の中央、領主の住む砦の門の前で馬車が止まる。

 クリスが門番に話をつけると、門の中に入れてもらえた。


 馬車を降りると、紺のワンピースを着た綺麗な女性が出迎えてくれた……。


 ……いや、これは――。


「お待ちしてました、マスター」


 顔を上げた女性を見て驚いた。


「ルーナ、全然イメージが違って驚いたよ」


「本当ですか?」


 そう言ったルーナは、少し頬を染めていた。

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