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地下神殿四階

 地下神殿、もういつものパターンだ。


 インプはハメ技で仕留める。ファイアショットをゲット。骨軍団は片っ端から吸い込む。


 そしてリッチだ。いるかな……?


 部屋をこっそり覗いてみたら、いた。杖は持っていない。いままでと大きく違うのは、目が光っていないことだ。でも死んでるわけじゃなく、少し浮遊してうろうろと歩き回ってる。浮遊しているから歩いてはいないか。


——吸い込めるんじゃね?


 トゲハルバードを試そうと思ってたんだが、吸い込める気がする。


 俺は一応、ハルバードを構えて飛び出した。リッチがファイアボールを放つ。ヤバいやつだ。俺は落ち着いて吸い込む。そして射程距離に入ったところで、


——ストレージ!


 吸い込んだ。


 やっぱ紫色の目玉があったときは、原理はわからないが中に魂が入ってたんだろう。今回は他のスケルトンと同じだった。残念ながらドロップアイテムがない。貴金属もない。まあ仕方ないか。


 そして俺は地下四階へと降りていった。



 地下四階を進むと、開けた部屋に出た。ここが本殿なんだろう。祭壇が見える。


 一段高くなった祭壇の中央では紫の灯りが、祭壇のサイドでは赤い灯りが灯っている。壁には青白い魔石が何個も埋められて光っている。


 両サイドの壁際に、何かよく分からない彫像が四体立っている。人、女性にしてはちょっと違う。魔族……なのか? じっくり見る余裕はない。


 祭壇の中央には、女神像のような彫像があり、それを祭るように前方に杖が一本立っている。そしてその杖に向かって、黒いローブを着た何かが祈りを捧げているようだ。


 その左右には、黒いシーツを被って破れた穴から顔を出した幽霊のようなものが一体ずつ。真ん中のやつも含めて三体とも腰から下が透けているようだ。リッチと同じ幽体か?


 左右の幽霊の前の床には、直径二メートルほどの円の、ピンク色の魔法陣がある。


 黒ローブが振り向いた。っていうか俺も黒いローブを着ている。


 黒ローブの目は、紫色のあれだ。顔はミイラのように乾燥してしわしわだ。土色をしている。


「我が祈りの邪魔をする者は誰だ」


 ゴワゴワとした声で話しかけてきた。


「タクヤだ」


 答えを望んでいないような気がしたが、答えた。


「死ね」


 名乗ったのにいきなりか。やつは下僕の黒シーツに攻撃命令を出した。黒シーツどもは、床の上を水平に滑りながら迫ってきた。こいつら吸い込めそうな気がするんだよね……。俺は炎熱の剣を構えた。吸い込めなかったら斬る。


 通路までステップバックすると、黒シーツは一体ずつ縦になった。


——ストレージ!


 吸い込めた。生命のない、召喚魔法で呼ばれた何かだったのだろうか? 魔法陣があったし。


「何をした!」


 黒ローブは驚いたらしい。俺はトゲハルバードに武器を変えた。人間に見えるが、多分とっくに死んでる。魔法生物のはず。そしてきっと魔法を使ってくる。そこでハメ技だ。俺は小走りに距離を詰めた。


「#########アイスボール」


 ちっ! アイスボールかよ。知ってる魔法かよ。吸い込んで覚えようと思ったのに。


——ストレージ!

 

 アイスボールを吸い込んで、黒ローブが驚いたその隙に、ハルバードを当てる。力は必要ない、とにかく当てる。そして、


——グサッ


 そういう音がした。ハルバードの刃から、三十センチの長さの円錐の魔法のトゲが四本飛び出し、黒ローブの胸部に刺さった。


 一撃だった。黒ローブは断末魔をあげることもなく、目の光が消え、崩れ落ちた。そして静寂。


「さて、お宝タイムか」


 まず目に付くのは、祭壇の前の杖。これは絶対なんかある。抜いて手に取ってみた。


「ふー、千年ぶりじゃわい。漸く外に出られた。お主には感謝するぞ」


 なんか出てきた。幼女だ。その服はピンハでしょうか?


「お前は誰だ?」

「妾は神じゃ」

「神様なら一人知ってるぞ。お前は偽物か?」

「失礼な。本物じゃ。おや、お主、妹の匂いがするのう。懐かしや」


 幼女神の姉君かよ。っていうか、わかるのかよ。その妹に会ったの数週間前だぞ。


「その神様がなぜこんなところに?」

「そこの狂信者に捕らえられていたのじゃ。本来ならこんな小物に捕らえられる妾ではないのじゃが、妾を崇拝する信仰心が厚くてのう。気まぐれで下界に降りてきたら帰れなくなってしもうた。そのまんま、やつも人間としては死に、亡霊となってずっとそのまんまじゃ。最近になってやっと結界が綻んできて人間がここまで来れるようになり、お主に助けられたというわけじゃ」

「もう帰れるのか?」

「もう大丈夫じゃ。お主には何かお礼をせねばならぬのう。何か望みはあるか?」

「俺を元の世界に返してくれ」

「それは無理じゃ。妹でも無理じゃと思うぞ」

「じゃあ俺に力をくれ。魔族を倒せるような。防御力を上げるようなのが都合がいい」

「お主、もう持っておるではないか。そうじゃのう、こうしよう、そのうち助けてやる」

「そのうち……」

「お主、おもしろそうだから目にかけてやる。本当に危ないときに妾が助けてやろう」

「すまない、助かる」

「ではさらばじゃ」


 幼女神の姉は消えた。多分帰ったのだろう。どこへか知らないけど。助けるってなんかよくわかんないけど、保険だと思ってればいいのかな。でまかせだったりして。待てよ、逆に、予知したとかないよな。俺、すげえピンチになるのか? 神様に頼らなきゃアウトなくらいの。まあ、予知できるなら千年も閉じ込められないよな。


 まあいい。お宝を探そう。狂信者の死骸はストレージに入れた。何か持ってるかも。杖はなんの杖かわからない。また王都の魔女っ子のところに行かなきゃ。他には……見回してみると宝箱があった。丸ごとストレージに入れた。彫像も何かに使えるかも知れない。最悪は鈍器の代わりだ。五体ともストレージに入れた。


 床の二つの魔法陣だが、召喚の魔法陣のようだ。ようだってのはおかしいが、俺もなぜ分かるのか分からない。魔法陣の中に書かれている文字がそう書いてあるような気がする。


 そして、魔法陣の外縁部に五つ、合計十個の魔石が埋められている。


——これ、もしかして永久召喚機関?


 インプやスケルトンがリポップする仕組みはこれか。魔石を抜けば止まるんだろうけど、これはそのままにしておく。スケルトンを集めに来たくなるかも知れないし。冒険者が経験を積みに攻略に来るかも知れない。


 祭壇の紫と赤の光は、どうやら壁にエンチャントされたライトの魔法のようだ。魔石で永久に輝くのだろう。ライトの色って変えることができるのか。勉強になった。


 最後にこの部屋の、使われていない、ただ壁に埋まってる魔石を全て頂戴した。天井にも埋まっていたので、ストレージから出したテーブルに乗って吸い込んだ。部屋は暗闇に、紫と赤と魔法陣のピンクの光で怪しげな雰囲気だ。近代的な感じもする。祭壇はDJブースになりそうだ。


 帰り道の壁の魔石も、本当にギリギリまで抜いた。ボロもうけだ。なんだかいいことしたみたいだし、身体も軽い。アンクレットのおかげだろうけど。俺は浮かれ気分でエリース村へ向かった。走って帰った。



 村へ着くと、製氷皿が三つできていた。製氷機を作るためにハウスに入るところは見られたくないので、一度預かって明日二つ返すことにした。


 夜は鹿肉で宴だった。鹿肉に合うハーブを教えてもらい、塩と交換した。実質、塩一袋をプレゼントしたような形だ。塩、いっぱいゲットしたから。


 エリックが話しかけてきた。


「いろいろもらってばかりで悪いな。何か欲しいものはないのか? 中には、何か裏があるんじゃないかって冗談を言うものもいる」

「はじめは部屋と湯船を作ってもらいたかっただけなんだが、余ってるものを分けたらみんなが喜ぶのがうれしくてな。欲しいものと言ったら、きれいな小屋が欲しい」

「いいだろう、作っておこう。明日詳しいことを教えてくれ」


 村人を集めて、地下神殿と盗賊について話した。地下神殿についてはどんなモンスターがどんな攻撃をしてくるか、ラスボスはいないので訓練にぴったりだとか、結界が切れたので今後は冒険者がきて、この村にも寄るかも知れないことを話した。


 

 村はずれからハウスに入った。製氷皿にエンチャントをかけた。


 製氷機で作った氷で、ウイスキーのロックを飲みながら、地下神殿のお宝タイム。なにがでるかな、なにがでるかな、ってペプに向かって歌った。


 宝箱の中には、ものすごい数の貴金属が入っていた。多分今は使われていない金貨がたくさん、アクセサリー類もある。金のじゃらじゃらしたネックレスも入ってた。成金の証だ。残念ながらマジックアイテムはなかった。しかし、今まで見たことがない宝だ。まさに、ジ・お宝だ。なんて日だ。


 俺はペプを抱いて踊った。猫ギターをした。右手でペプのお腹をじゃかじゃかかき鳴らす。ヘッドバンギングをしてジャンプをした。そして吠えた。




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