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Still Alive ―前世で壊してしまった人生を、異世界でもう一度やり直す―  作者: ぷにゅん


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第41話「先生に聞いてみよう」

 翌朝。


 エリシアはいつもより早く目が覚めた。


 昨日のことが、頭から離れない。


(……うごいた。)


 落ち葉。


 風は吹いていなかった。


 でも、確かに動いた。


 夢ではない。


 何度思い返しても、そう思えた。


◆


 朝食を終えたあとも、気になって仕方がなかった。


 訓練中も。


 木剣を振りながら考えてしまう。


(……なんで。)


◆


「集中!」


 教官の声が飛ぶ。


「……はい。」


 少しだけ慌てて木剣を構え直す。


 アレンが隣で小さく笑っていた。


◆


 午前の訓練が終わる。


 みんなが休憩へ向かう中、エリシアだけは資料室へ向かった。


◆


 扉を開ける。


 今日もシアラが本を整理していた。


◆


「どうしました?」


 優しく声を掛けられる。


◆


 エリシアは少し迷う。


 言葉を探す。


◆


「……せんせい。」


◆


「はい。」


◆


「……きのう。」


◆


「はっぱ。」


◆


「……うごいた。」


◆


 シアラの手が止まる。


 でも表情は変えない。


◆


「どうやって動いたの?」


◆


 エリシアは両手を見せる。


◆


「……こう。」


◆


 胸に手を当てる。


◆


「……ここ。」


◆


「……あったかい。」


◆


「それで。」


◆


「……ちょっと。」


◆


「うごいた。」


◆


 言葉は少ない。


 それでも十分伝わった。


◆


 シアラは静かにしゃがみ込む。


◆


「ありがとう。」


◆


「教えてくれて。」


◆


 エリシアは少し驚く。


◆


「……おこらない?」


◆


 その一言に。


 シアラは少しだけ切なそうな顔をした。


◆


「怒りません。」


◆


「分からないことを話してくれるのは、とても大切なことです。」


◆


「先生も、一緒に考えます。」


◆


 その言葉に、エリシアは少しだけ安心した。


◆


(……よかった。)


◆


 その日の午後。


◆


 シアラは局長室を訪れていた。


◆


「局長。」


◆


「エリシアが、自分から相談に来ました。」


◆


 局長は静かに頷く。


◆


「そうか。」


◆


「どう思われますか?」


◆


 少しだけ沈黙が流れる。


◆


「私は。」


◆


「葉が動いたことよりも。」


◆


「相談に来たことの方が嬉しい。」


◆


 シアラが目を瞬かせる。


◆


 局長は穏やかに笑った。


◆


「力は、一人では危うい。」


◆


「だが。」


◆


「分からないことを、分からないと言える者は強い。」


◆


「知ろうとする者は、もっと強い。」


◆


 シアラも優しく笑う。


◆


「エリシアらしいですね。」


◆


「ああ。」


◆


「このまま育ってほしい。」


◆


 夕方。


◆


 中庭ではアレンが今日も木剣を振っていた。


◆


 エリシアはその隣へ行く。


◆


「……アレン。」


◆


 初めて名前を呼ぶ。


◆


 アレンが振り返る。


◆


「ん?」


◆


「……いっしょ。」


◆


「やる。」


◆


 アレンはぱっと笑顔になる。


◆


「うん!」


◆


「今日もやろう!」


◆


 二人は木剣を構える。


◆


 ブン。


◆


 ブン。


◆


 昨日より、少しだけ息が合う。


◆


 少しだけ、振る音も揃う。


◆


 まだ幼い二人。


 それでも。


 互いの存在が、少しずつ当たり前になってきていた。


◆


 そしてエリシアは思う。


◆


(……ひとりじゃ。)


◆


(……ない。)


◆


 その小さな安心が。


 彼女の世界を、少しずつ広げていた。

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