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Still Alive ―前世で壊してしまった人生を、異世界でもう一度やり直す―  作者: ぷにゅん


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第21話「はじめての授業」

 局長との話が終わった翌日。


 エリシアは、少し早く目を覚ました。



(……まなぶ)


 昨日の言葉が、頭に残っている。


 学べ。


 力を知りたいなら。



 前の人生では。


 勉強なんて好きじゃなかった。


 面倒だったし、意味も分からなかった。


 だから、避けていた。



 でも——


(……こんどは)


 少し違う。


 知らないままでいる方が、怖かった。



 朝食を終えると、ミレアが待っていた。


「今日は教室だよ」


「……きょうしつ?」


「うん」


 少しだけ笑う。


「勉強するところ」



 案内された場所は、思っていたより普通だった。


 机。


 椅子。


 本棚。


 大きな黒板みたいな板。



(……がっこうみたい)


 前世の記憶が、小さく顔を出す。


 少しだけ懐かしい。



 中には数人の子供がいた。


 年齢は様々だ。


 エリシアやミレアより年上もいる。



 みんな、一度こちらを見る。


 でも騒がない。


 すぐに自分の席へ戻っていく。



(……たすかった)


 少し安心する。


 注目されるのは、まだ苦手だった。



「ここね」


 ミレアが隣の席を指さす。


 素直に座る。



 しばらくして。


 一人の女性が入ってきた。


 長い銀色の髪。


 落ち着いた雰囲気。



「おはようございます」


 優しい声だった。



 子供たちが返事をする。


 少し遅れて、エリシアも真似をした。


「……おはよ」



 女性が微笑む。


「新しい子ですね」


 視線が向く。


 でも嫌な感じはしない。



「私はシアラ」


 ゆっくり名乗る。


「皆に勉強を教えています」



(……シアラ)


 その名前を覚える。



「今日は初日なので、簡単なお話から始めましょう」



 黒板に文字が書かれる。


 世界。


 人。


 魔力。



(……まりょく)


 初めて聞く言葉じゃない。


 でも、ちゃんと説明されるのは初めてだった。



「この世界のすべてには魔力が流れています」


 シアラが話す。


「人も、動物も、植物も」



 教室が静かになる。


 みんな聞いている。



「ですが」


 そこでシアラが少し表情を変える。



「流れが乱れることがあります」



 エリシアの体が少しだけ反応した。



「その歪みが大きくなると、影喰いが生まれます」



(……やっぱり)


 自然と息を飲む。



「だから管理局は世界を守るのです」



 その言葉は、思ったより重かった。



 今までは、自分の周りだけだった。


 村。


 ルナ。


 父と母。



 でも——



(……せかい)


 その言葉は大きい。


 想像もできないくらい。



「先生」


 一人の男の子が手を挙げた。


「影喰いは全部倒せるんですか?」



 シアラは少しだけ考えた。



「全部は難しいでしょう」



 教室が静かになる。



「だからこそ、私たちは学び続けるのです」



 その答えは、どこか局長に似ていた。



 分からないなら学ぶ。


 知らないなら知る。



 簡単な言葉なのに、不思議と心に残る。



(……そうか)


 少しだけ。


 本当に少しだけ。



 前の自分には無かった気持ちが生まれる。



(……しりたい)



 影喰いのこと。


 自分のこと。


 世界のこと。



 まだ分からない。


 でも——



 知りたいと思った。



 授業の終わり。


 窓の外を見る。



 青い空が広がっている。



 村にいた頃と同じ空。


 でも——



 その向こうには、まだ見たことのない世界がある。



 エリシアは、小さく拳を握った。



 知らないことは、まだたくさんある。



 けれど。



 今度は逃げない。



 少しずつでも。


 一歩ずつでも。



 知っていこう。



 そう思えたのは——


 きっと、初めてだった。

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