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Still Alive ―前世で壊してしまった人生を、異世界でもう一度やり直す―  作者: ぷにゅん


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第16話「境界管理局」

 人の流れを抜けて、少し歩いた先。


 建物の前で、足が止まった。


(……でかい)


 それが最初の感想だった。


 周りの建物よりも高い。


 広い。


 無駄がない形。


 飾りも少ない。


 でも——


(……ちがうな)


 なんとなく分かる。


 ここは、ただの建物じゃない。



 入口の上に、見慣れない印があった。


 丸い枠の中に、線が交差している。


 意味は分からない。


 でも——


「ここが支部だ」


 調査員が言う。


(……しぶ)


 新しい言葉。


 でも、聞き返さない。


 なんとなく、重要な場所だと分かるから。



 中に入る。


 空気が変わる。


 外より静か。


 でも、人は多い。


 歩く音。


 紙の音。


 短い会話。


 全部が抑えられている。


(……さっきとちがう)


 同じ“人が多い”でも、全然違う。


 騒がしくない。


 整っている感じ。



 すれ違う人たちが、こちらを見る。


 ほんの一瞬だけ。


 すぐに視線を戻す。


(……みてるな)


 でも、村のときとは違う。


 驚きでも、不安でもない。


 “確認”している感じ。



「通す」


 調査員が短く言う。


 入口近くにいた人が頷く。


 それだけで、何も聞かれない。


(……すごいな)


 言葉が少ない。


 でも、通じている。



 奥へ進む。


 廊下が続く。


 扉がいくつもある。


 全部同じに見える。


 でも、微妙に違う。


(……わからん)


 正直な感想だった。



「ここだ」


 止まる。


 一つの扉の前。


 調査員が開ける。



 中は、広くはない。


 机と椅子。


 それだけ。


 でも、無駄がない。


(……なにもないな)


 そう思ったとき——


「座れ」


 言われる。


 素直に座る。



 しばらくして、別の人が入ってきた。


 年上。


 さっきの人たちより、少しだけ空気が違う。


(……このひと)


 なんとなく分かる。


 立場が上。


 そんな感じ。



「報告は聞いた」


 短く言う。


 無駄がない。


「その子か」


 視線が向く。


 逃げない。


 逸らさない。


 じっと見る。


 向こうも、同じだった。



「名前は」


「……エリシア」


 少しだけ間があった。


 でも、言えた。


 ちゃんと。


「年齢は」


「……さんさい」


 少しだけ、言いにくい。


 でも、出る。


 その人は、小さく頷いた。



「確認する」


 それだけ言う。


 部屋の空気が、少し変わる。


 静かに、重くなる。


(……またか)


 でも、逃げない。


 もう分かっている。


 これは——


(……ためされてる)



 机の上に、何かが置かれる。


 透明な板。


 少しだけ光っている。


(……なんだこれ)


 見たことがない。


 でも——


 嫌な感じはしない。



「手を乗せろ」


 言われる。


 少しだけ迷う。


 でも——


 ゆっくり手を伸ばす。


 触れる。


 ひんやりしている。



 その瞬間。


 光が、揺れた。


 弱く。


 でも、確かに。


(……ん?)


 さっきと違う。


 影喰いのときとは違う。


 でも——


 何かが、反応している。



「……やはりか」


 小さな声。


 その人が呟く。


 少しだけ、目が細くなる。


「通常の反応ではない」


 周りの空気が、また変わる。


(……またそれか)


 “普通じゃない”


 それは、もう何度も聞いている。



「いいだろう」


 その人が言う。


「この子は預かる」


 はっきりと。


 迷いなく。



(……あずかる)


 その言葉が、少しだけ重い。


 でも——


 拒否はしない。


 もう決めている。



「今日からここが、お前の場所だ」


 静かに言われる。


 短い言葉。


 でも——


 ちゃんと伝わる。


(……ここが)


 見回す。


 知らない場所。


 知らない人たち。


 でも——


 ここから始まる。



 小さく息を吸う。


 少しだけ、胸が動く。


 怖さはある。


 でも、それだけじゃない。


(……やるか)


 それだけ思う。


 そして——


 エリシアは、その場所に座ったまま、


 初めて“ここにいる”ことを受け入れた。

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