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Still Alive ―前世で壊してしまった人生を、異世界でもう一度やり直す―  作者: ぷにゅん


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第15話「人の多い場所」

 しばらく歩いたあと。


 景色が、少しずつ変わっていった。


 木が減る。


 道が広くなる。


 人の気配が、増える。


(……なんか、いるな)


 まだ見えていない。


 でも、分かる。


 前とは違う空気。



 やがて——


 開けた場所に出た。


 建物が並んでいる。


 低いものから、高いものまで。


 見たことのない形もある。


(……おおい)


 人がいる。


 たくさん。


 村とは比べものにならない。


 歩いている。


 話している。


 荷物を運んでいる。


 全部が、同時に動いている。



「ここで少し止まる」


 調査員が言う。


 足を止める。


 でも、周りは止まらない。


 人の流れが、ずっと動いている。


(……うるさいな)


 声。


 足音。


 物音。


 全部が重なる。


 村にはなかった音。



「はぐれるな」


 短く言われる。


「……うん」


 小さく答える。


 自然と、少し近づく。


 離れたら、分からなくなりそうだった。



 視線が、あちこちに向く。


 服が違う。


 持っているものも違う。


 話している言葉も、少し違う。


(……ちがうな)


 同じ人間。


 でも、同じじゃない。


 それが、はっきり分かる。



「どうだ」


 調査員が聞く。


「……おおい」


 それしか出てこない。


 正直な感想だった。


 調査員は、わずかに口元を緩めた。


「ここはまだ少ない方だ」


(……これで?)


 思わず周りを見る。


 これで少ない。


 じゃあ——


(……もっと、あるのか)


 少しだけ、想像が追いつかない。



 ふと、足が止まる。


(……ん?)


 違和感。


 ほんの少しだけ。


 空気が、重い場所がある。


 人の流れの中に、混ざっている。


 小さい。


 でも、確かにある。


(……いる)


 自然と視線が向く。


 路地の奥。


 人の影に隠れるように——


 黒い、にじみ。



「……あっち」


 小さく言う。


 調査員の視線が動く。


「どこだ」


「……あそこ」


 指を向ける。


 短く。


 はっきりと。


 調査員が、少しだけ目を細める。


「……本当か」


 すぐに他の者へ合図する。


 空気が変わる。


 さっきまでの移動とは違う。


 動きが鋭くなる。



「ここで待て」


 調査員が言う。


 そのまま、数人が路地へ入っていく。


 残された場所。


 人は普通に動いている。


 何も知らないまま。


(……しらないのか)


 すぐ近くにあるのに。


 気づいていない。


 それが、少しだけ不思議だった。



 しばらくして。


 空気が、わずかに揺れる。


 でも、音はない。


 叫びもない。


 ただ——


 違和感が、消える。


(……おわったか)


 分かる。


 あの感じが、なくなった。



 調査員たちが戻ってくる。


 何もなかったような顔で。


 でも、ほんの少しだけ空気が変わっている。


「……確認した」


 短く言う。


 それ以上は話さない。


 でも、十分だった。



「お前は、よく分かるな」


 視線が向く。


 さっきよりも、少しだけ強い。


「……なんとなく」


 正直に言う。


 本当に、それしかない。


 理屈じゃない。


 ただ、分かるだけ。



 再び歩き出す。


 人の流れの中へ。


 さっきよりも、少しだけ違って見える。


(……いるんだな)


 見えないだけで。


 気づいていないだけで。


 すぐ近くにある。


 それが——


 この世界の一部だと、初めて実感した。



 前を見る。


 道は続いている。


 人も、増えていく。


 音も、広がっていく。


 知らないものが、まだたくさんある。


 でも——


(……おもしろいな)


 少しだけ、そう思った。


 怖さは、消えていない。


 でも、それだけじゃない。


 知らないこと。


 分からないこと。


 それを、知っていく。


 その感覚が——


 少しだけ、悪くなかった。

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