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Still Alive ―前世で壊してしまった人生を、異世界でもう一度やり直す―  作者: ぷにゅん


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第11話「確かめるもの」

 集まった人たちの視線が、まだ残っている。


 その中で——


「中で話そう」


 調査員が言った。


 短く、それだけ。


 村の中心にある建物へと移動することになった。



 部屋の中は、静かだった。


 外のざわつきが嘘みたいに、音がない。


 いるのは——


 調査員と、その仲間。


 父と、数人の大人。


 そして、エリシア。


(……多いな)


 小さく思う。


 見られている。


 さっきよりも、近くで。


「座っていい」


 調査員が言う。


 指で示された場所に、ゆっくり座る。


 体はもう動く。


 でも、少しだけ力が入る。



「まず確認する」


 調査員が口を開く。


「昨日と同じものが出た場合——お前は触れられるか」


(……いきなりだな)


 回りくどさはない。


 まっすぐ来る。


「……さわれる」


 小さく答える。


 完全に自信があるわけじゃない。


 でも、あの感覚は覚えている。


 調査員は、わずかに頷いた。


「では、今から試す」


(……やるのか)


 空気が、少しだけ張る。


 周りの大人たちも、何も言わない。


 ただ見ている。



 調査員が、懐から小さな石を取り出した。


 黒い。


 ただの石に見える。


 でも——


(……なんだ、これ)


 少しだけ、嫌な感じがする。


「歪みの残滓だ」


 短く説明する。


「完全な個体ではない。だが、反応は出る」


 そのまま、地面に置く。


 しばらく、何も起きない。


 静かなまま——


 次の瞬間。


 空気が、わずかに揺れた。


(……来る)


 分かる。


 昨日と同じ。


 いや、もっと弱い。


 でも確かに——


 そこにある。


 黒い、にじみのようなものが浮かび上がる。


「……出たな」


 誰かが呟く。


 その場の空気が、一気に固まる。



「行けるか」


 調査員の声。


 短い。


 逃げ道はない。


(……やるしかないか)


 ゆっくり立ち上がる。


 足は動く。


 震えてはいない。


 でも——


(……やっぱり、気持ち悪いな)


 目の前のそれを見る。


 形が定まらない。


 でも、そこに“いる”。


 手を伸ばす。


 少しだけ、止まる。


(……こわい)


 正直な気持ちだった。


 でも——


(……やる)


 指先が触れる。


 冷たい。


 でも、それだけじゃない。


(……これだ)


 意識する。


 流れ。


 広がる感覚。


 昨日と同じ。


 でも今は、少しだけ分かる。


(……こう、か)


 押し出す。


 整えるように。


 触れた部分から、じわりと広がる。


 黒いにじみが、揺れる。


「……変化してる」


 誰かの声。


 関係ない。


 そのまま続ける。


(……消えろ)


 強く思う。


 次の瞬間。


 にじみが、崩れた。


 音もなく。


 そのまま——消えた。



 静かになる。


 さっきまであった気配が、完全に消えている。


 誰も、すぐには動かない。


 ただ——


 全員の視線が、エリシアに向いていた。


(……またこれか)


 慣れない。


 でも、目は逸らさない。



「……確認した」


 調査員が言う。


 その声は、さっきまでより少しだけ低い。


「間違いない」


 短く区切る。


 そして——


「お前は、“干渉できる側”だ」


(……また、それか)


 意味は分からない。


 でも、普通じゃないということは分かる。


 調査員は少しだけ考えるように間を置いてから——


「このまま村に置いておくのは危険だ」


 はっきり言った。



「……危険、だと?」


 父の声。


 低い。


 感情が少しだけ混じる。


「本人にとっても、周囲にとってもだ」


 調査員は迷わない。


「力の制御ができていない」


「影喰いを引き寄せる可能性もある」


(……引き寄せる?)


 その言葉に、少しだけ引っかかる。


 でも、考える前に——


「では、どうする」


 父が問う。


 短く。


 鋭く。


 調査員は、まっすぐ答えた。


「管理局で保護する」


 その一言で、空気が変わる。



 静かになる。


 さっきまでとは違う重さ。


 逃げられない話。


(……外、か)


 頭の奥で思う。


 ここじゃない場所。


 知らない場所。


 でも——


 避けられない。


 そんな気がした。


 父を見る。


 母を見る。


 何も言わない。


 でも、分かる。


 簡単じゃない。


 それでも——


(……やるしかないか)


 小さく息を吐く。


 怖い。


 分からない。


 でも——


 目を逸らさない。


 調査員を見る。


 まっすぐに。


 その視線を受け止める。


 もう、昨日までとは違う。


 そう思った。

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