49 アニマキング
ハルたちの前に現れたのは、薫だった。
桂木はそばまで来た薫に、お礼を言って頭を下げた。
「本当に、感謝していますよ。あなたのおかげで、私はやりとげることができたのだから」
「薫さん、どうして……」
ハルの問いかけに、薫は黙って目線をそらす。
「さぁ、話はここまでです。この指輪の力を、試すとしましょうか!」
桂木がそう言うと、指輪が光りだした。
すると、アニマキングが雄たけびを上げる。
「ハル、今は傷ついている場合じゃないぞ!」
マサの言葉に、ハルは頭を振った。
そして、目の前の敵を見つめる。
「とにかく、今はあの巨大生物を、なんとかしよう!」
「おぅ!」
「はい!」
「アニマキングですよ。名前くらい覚えなさい」
桂木はため息をつくと、不敵な笑みを浮かべた。
「しかし、その勢いがどこまで続きますかね?」
「桂木君、あまりあの子たちをなめない方がいいよ」
「くくくっ、あなたはそこで見ているといいですよ。さぁ、やってしまいなさい!」
「グオォーッ!」
先に駆けだしたのは、アニマキングの方だった。
突進してきたため、マサはハルを、ユキはアキナを抱え避ける。
他の三人も避け、攻撃態勢に入る。
「大丈夫か、ハル」
「うんっ、平気だよ。ありがとう!」
「アキナ殿は、ハル殿と一緒に離れていてくだされ」
「わかったわ……」
そして、二人はアニマキングに向かっていった。
「サンダーボルト!」
「マーメイドモード、水の波動!」
「敵を焼き尽くせ、業火!」
マサは電撃を、ユミは水の球を、レンは炎の渦を放った。
それはアニマキングに当たり、爆発をして煙が広がる。
「よしっ!」
「いや、ちょっと待て。なにか様子がおかしい」
マサたちが警戒していると、煙がなくなりアニマキングの姿が見えた。
だが、アニマキングには、傷が一つもついていなかった。
「なんだと?!」
「あれだけの攻撃を受けても、ビクともしないのか……」
「ならば、これならどうでござる。紅蓮!」
マサたちが驚いていると、ユキが飛びだしてくる。
そして、炎の柱を出現させた。
すると、アニマキングは左手を上げ、炎を吸いこんだ。
「なっ、吸いこまれた?」
「ユミ、二人で行くぞ!」
「わかりました。ウィングモード、かまいたち!」
「シューティングアロー!」
イグは羽根の矢を、ユミが風の刃を放つ。
だが、アニマキングの雄たけびとともに、技が吸収される。
「グオォーッ!」
「これも、ダメなんですか?!」
「くくく……ずいぶん驚いているようですね」
笑う桂木を、薫は複雑な表情で見つめていた。
それに気づかない桂木は、指輪をはめた手を突きだす。
「今度は、こちらからいきますよ。アニマキング!」
桂木の呼びかけに、アニマキングは頷いた。
「水の波動……」
アニマキングが呟くと、目の前に巨大な水の玉が、いくつも現れる。
「えっ、あれは私の技?」
ユミが驚いていると、一気に玉が放たれた。
「くっ!」
なんとか全員避けたが、アニマキングは電撃を放ってきた。
「サンダーボルト……」
「ちっ、俺の技まで出してきやがるのか!」
「紅蓮……」
そして、巨大な火柱が、マサたちを襲った。
「うわあぁーっ!」
全員吹き飛ばされ、マサたちが倒れていく。
「そんな……皆、しっかりして!」
「まさか、相手の技をコピーするなんて……」
ハルとアキナは、急いでマサたちに近づいた。
「くっ……ハル、近づくんじゃねぇ……」
「お二人とも、危ないから離れていてくだされ……」
「どうです、これが私の研究成果ですよ!」
桂木は、高らかに言った。
それはまるで、子どもが親に自慢するかのように。
聞いたハルは立ち上がり、桂木を睨みつけた。
「なにが成果よ。皆の技を、真似しただけじゃない!」
「失礼ですね。これは、カメレオンのアニマのレオの力ですよ」
「それって、まさか……」
「その『まさか』ですよ」
「あなた、またアニマで、実験したの?」
ハルは、怒りで手を握りしめる。
しかし、桂木は笑みを絶やさない。
「これは、彼らが望んだことですよ?」
「でも、それは許されることじゃないわ!」
「私は、別に許してもらいたいとは、思っていませんよ」
「彼らは生きているのよ。あなたは、その命を弄んでいるだけじゃない!」
「……君は少し、黙った方がよさそうですね」
桂木は真顔になり、アニマキングに命令をする。
「さぁ、あの娘もやってしまいなさい!」
アニマキングは命令に従い、ハルに向かって歩きだした。
ハルは、指輪をはめた手を握りしめ、目の前のアニマキングを見つめる。
「あなたは、なにもわかっていない……」
そう呟いたハルは、桂木とアニマキングから目をそらさず言葉を続ける。
「私は、アキナちゃんと約束したの。あなたを止めるって」
「ハルさん……」
「私を止める、だと?」
「そうよ。だから私たちは、あきらめないし、絶対に負けない!」
ハルがそう言うと、指輪が反応し光りだす。
そして、マサたちの体も光りだした。




