14 変わり果てた君の姿
「やれるもんなら、やってみろ!」
マサは駆けだし、拳に電撃を集める。
「ライジングショット!」
「……ギアーショット」
「なっ!」
すると、大型アニマも拳を突きだしてきた。
その威力に負け、マサは吹き飛ばされてしまう。
「マサ!」
ハルはマサに駆け寄り、大型アニマを見つめる。
「あの技は、ユリアって子の技だったはずじゃ……」
「おそらく、吸収したアニマの力を使えるみたいだな」
マサはもう一度立ち上がり、大型アニマに向かっていく。
「マサ殿、助太刀いたす!」
ユキも駆けだし、炎を出現させた。
「敵を焼き払え、火炎!」
たくさんの炎が、大型アニマに向かって放たれた。
「水の波動……」
しかし、大型アニマはいくつもの水の球で炎を消した。
「なっ、打ち消された?」
「ユキ、一度退いて!」
ハルは指示を出すが、ユキは構わず戦いを続ける。
マサも攻撃するが、大型アニマはほぼ無傷である。
「おいおい、俺を無視するなよ!」
ネイは蛇を槍に変えて、二人をなぎ払った。
「ぐっ!」
「しまった!」
「マサ、ユキ!」
「ギアーショット……」
マサとユキが飛ばされたところに、大型アニマが一撃を入れる。
二人はガードしたが、ビルの壁まで吹き飛んだ。
「「がはっ」」
「二人とも、しっかりして!」
ハルは急いで二人に駆け寄った。
そして、大型アニマに向き直り、両手を大きく広げた。
「もうやめて! 二人を傷つけないで!」
「あぁん? なに言ってるんだ、あの女は」
呆れたネイは、大型アニマの足を叩く。
「おい、あの女を捕まえろ」
すると、大型アニマはゆっくりと手を伸ばし、ハルを捕まえた。
「きゃあっ!」
「よし、そのまま握りつぶしちまえ!」
大型アニマは、徐々に力をこめていく。
「くっ……苦しい……」
「ハル!」
「ハル殿!」
二人がハルの名前を呼んだ時、大型アニマの動きが止まる。
その反応に、ネイは首を傾げた。
「どうした? 早くその女を始末しろよ」
しかし、大型アニマは小刻みに体を震わせていた。
「あなた、震えているの?」
ハルは、大型アニマの手に優しく触れる。
「やっぱりあなた、どこかで会ったことがあるの?」
ハルの問いに、大型アニマが口を開いた。
「は……ハルさ……ん、助けて……」
「えっ?」
「私……ユミです……」
「っ!」
ハルとマサたちは息を飲んだ。
なぜなら、ボロボロの羽でしか、ユミだとわからなかったからだ。
ハルは震える手を、大型アニマに伸ばした。
「ユミちゃん……ユミちゃんなのね!」
大型アニマは静かに頷き、ハルは目に涙をためていた。
「ごめんね、あなたが助けてほしい時に、私はなにもしてあげられなかった」
「……」
「あなたたちがいなくなって、後悔ばかりしていたの」
ハルの話を、大型アニマは静かに聞いている。
「だから、今度こそあなたを助けたい! もう苦しまなくていいんだよ」
「は……ハルさん……」
大型アニマは、震えながら涙を流していた。
それを見ていたネイは、槍をハルに向かって投げた。
「こいつに勝手なこと言うな!」
ハルは恐怖のあまり、強く目を閉じた。
「があぁーっ!」
「なっ!」
しかし、ハルに槍が当たることはなかった。
ハルが目を開けると、大型アニマがハルを庇い、背中で槍を受けていた。
「ユミちゃん!」
大型アニマはハルを離し、そのままその場に倒れこんだ。
落ちそうになったハルを、ユキが受けとめる。
「ありがとう、ユキ。ユミちゃん、しっかりして! お願いだから目を開けて!」
「ちっ、邪魔しやがって……」
ネイがもう一度槍を構えると、マサが拳で殴りかかってきた。
「ライジングショット!」
「うわっ、危ねぇ!」
「あいつらの邪魔はさせないからな」
★★★
「どうしよう……このままじゃ、ユミちゃんが死んじゃうよ!」
「ハル殿、このアニマは急所を貫かれて、動けないのでござる」
ユキは、ハルの肩に手を置いて落ち着かせようとする。
しかしハルは、大型アニマから離れようとしない。
「私がいけないんだ……ユミちゃんたちと一緒に行っていれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに……」
「ハル殿、それは違うでござる」
ハルの手を握り、ユキはまっすぐハルを見つめた。
「ハル殿のせいではございませぬ」
「……ユキ?」
「悪いのは、このような研究をしていた者たちでござる」
「そうだぜ、ハル。だから自分を責めるな!」
マサも戦いながら、ハルを励ました。
「マサ、ユキ……」
ハルが涙を流していると、大型アニマが微かに動いた。
大型アニマは、うつろな目をしながらハルに手を伸ばす。
「ハル……さん、ケガはありませんか……?」
「大丈夫よ、あなたが守ってくれたもの!」
「よか……った。ありがとう……」
「どうして、お礼を言うの? お礼を言うのは私なのに」
ハルは、伸ばされた手を強く握った。
すると、大型アニマは微かに微笑んだ。
「あなたのおかげで、私は救われた……だから、ありがとう……」
やがて、大型アニマの体が、ボロボロと崩れていった。
「あぁ、ユミちゃん!」
ハルは泣きながら手を握りしめる。
そして、何度も何度も謝った。
「ごめん、ごめんなさい! あなたを助けられなくて、ごめんなさい……」
「ハル殿……」
「ハル……」
泣きじゃくるハルに、マサもユキも言葉が出なかった。




