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108 変革を始めようか!

「ふぅ……三人とも、大丈夫かな……」

 ハルは、庭の掃除をしていた。

 動いていないと、落ち着かないのだ。

 すると、アキナと猿渡が帰ってきた。

「あっ、二人ともおかえり!」

「あの、レンさん戻っていますか?」

「えっ、まだだけど……」

「待ち合わせ場所にもいなかったので、こちらかと思ったんですが……」

 ハルたちが考えていると、突然猿渡が振り向いた。

「あっ、レンのお兄さんだ!」

 音もなく、レンは家の前に立っていた。

 そして、ハルに近づき、腕を引いた。

「ちょっと、レンさん?!」

 突然のことに、ハルは戸惑った。

 しかし、レンは強く腕を引っ張っていく。

「いっ、痛いです、引っ張らないで!」

「お姉ちゃん、痛がってるよ!」

「その手を離してください!」

「おい、どうしたんだ」

 騒ぎを聞きつけ、マサたちがおりてきた。

 すると、イグがレンの異変に気づく。

「待て、様子がおかしいぞ」

 振り向いたレンの目は、とてもうつろだった。

「お嬢を離すんだ、レン!」

 イグの手が触れた瞬間、衝撃波が襲う。

 そして、勢いよく壁に激突した。

「がはっ」

「イグさん!」

「てめぇ、イグは仲間だろ!」

 マサは怒りに任せ、レンにとびかかる。

 その時、レンの頭に声が響いた。

『邪魔な奴らは、攻撃していい』

「攻撃……」

 声の主は、神島だった。

 レンは小さく呟き、マサを蹴り飛ばした。

「ぐっ」

「マサ!」

「レンのお兄さん、暴力はダメ!」

 猿渡が抑えようとしたが、服を掴まれ投げられる。

「うわっ!」

「猿渡さん!」

 アキナは受けとめようとしたが、そのままぶつかった。

「きゃぁっ!」

「わわっ、家の中で暴れないで!」

 気づけば、家の中はめちゃくちゃだった。

 いろんな物が散乱し、悲惨な状態である。

 すると、レンは技の構えをとった。

 そのことに、マサたちは青ざめる。

「まさか、家ごと焼く気か?!」

「やっ、やめてレンさん!」

 ハルは、とっさにレンの腕にしがみつく。

 そのため、レンの動きは止まった。

「私をどこかに連れていきたいんでしょ?」

「……」

「ちゃんとついていくから、もうやめて……」

 今にも泣きそうなハルを、レンは見つめた。

 すると、また声が響いた。

『彼女は、素直でいい子だね。連れてきなさい』

 頷いたレンは、ハルの手を引いた。

 ハルも、抵抗せずについていく。

「ハル!」

「マサ、大丈夫」

 マサが近づこうとしたが、ハルが片手で制した。

「目的は私みたいだし、言う事を聞けば、手は出さないと思う」

「だが……」

 心配するマサに、ハルは微笑む。

 そして、真剣な眼差しになった。

「それに、これはレンさんの意思じゃないよ」

 ハルの意見に、誰もが納得だった。

 すると、サラが近づいてくる。

「マスター、これを」

「えっ?」

「忘れ物ですよ」

 サラはハルの手を取り、ある物を握らせた。

 ハルはなにかを察し、ポケットにしまう。

「ありがとう、サラさん」

「どうか、お気をつけて」

 ハルは頷き、レンの手を握る。

「行きましょう、レンさん」

 ハルたちが出ていき、マサはサラを睨みつけた。

「おい、さっきハルになに渡したんだよ」

「発信機です。これで、マスターの位置がわかります」

「おぉっ、やるじゃねぇか!」

「これなら、尾行せずにすむな」

「……そろそろですね。では、参りましょう」

★★★

 レンはハルを抱え、ビルの上を跳んでいた。

「レンさん、どこに連れていくの?」

「……」

「どうして、なにも言ってくれないんですか!」

 無言の圧に耐えられず、ハルはレンの胸を叩く。

「みんなまで傷つけて……」

 すると、突然まばゆい光に包まれる。

「うわっ、まぶしい!」

 思わず、ハルは手で目を覆った。

 やがて光は消え、あのうす暗い空間にやってきた。

「ここ、どこですか?」

「やぁ、おかえりレン君」

「えっ、神島さん?!」

 神島の登場に、ハルは驚きを隠せなかった。

 対する神島は、いたずらっぽく笑っている。

「ほらね、また会えたでしょ?」

「もしかして、レンさんがこんな風になったのは、あなたのせいなんですか?」

「その通り」

 口角を上げ、神島は指をパチンと鳴らした。

 その瞬間、レンは気を失うように倒れた。

「レンさん、しっかり!」

 ハルは、必死に体を揺すった。

 すると、レンはゆっくり目を覚ました。

「うっ、俺はなにを……」

「レンさん、よかったぁ……元に戻ったんですね!」

「ハル、なんで君が?」

「なんでって、レンさんが連れてきたんでしょ?」

「俺が?」

「操られていた時の記憶がないから、無理はないな」

「えっ、なんで神の遣い様まで?」

 神の遣いも現れ、ハルの頭はパニック状態だった。

 すると、ハルの指輪が光りだした。

「えっ、指輪が!」

「どうやら、彼らも来たみたいだね」

 神島が見上げると、空間に亀裂が入った。

 そして大きな穴ができ、マサたちがおりてきた。

「ハル、無事か!」

「みんな!」

「途中、マスターの反応が消えたのですが、突然空間に亀裂が入りまして……」

「それで、皆で入ってきちゃったと……」

「はい」

「そういや、ここどこなんだよ」

「わからずに、飛びこんできたの?!」

「しかたねぇだろ、とっさだったんだから!」

「お二人とも、ケンカしている場合じゃありません」

 サラに注意され、ハルたちは前を見すえる。

「やっと、全員揃ったね。ようこそ、僕の神域へ!」

 すると、神島は両手を広げ、高らかに宣言した。

「さぁ、変革を始めようか!」

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