表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/30

12


 昼食を食べ終わり片づけをする。食器の置き場所も教えてもらう。

 そのあと、一階の説明をざっとしてもらう。裏口から入ってきたところにある右の扉は物置で、左はキッチンにつながる扉だと案内され、面談したところ……執務室を抜けると、廊下があった。

 ステラさんが右を差し、


「あちらの扉は魔法の研究や実験を行っているところです。ワトレイノイズ様はあちらにいらっしゃることが多いですね。あなたは魔力が少ないのであまり近づかないことをお勧めします。お昼の時は、この壁にある紐を引くと中で鈴が鳴ります。それでも出てこない場合は夕方まで様子を見てください。夕方まで一度も出てこない場合は部屋に入ります」

「わかりました」


 逆の方向には扉が二つ。

 真正面の扉を示し、


「あちらは応接室になっています。応接室の先には鉢植えの植物が置いてあります」


 左の扉に手をかけ開ける。


「こちらは物置、在庫室。お茶用のお湯を入れる簡易キッチンです。ここは執務室とつながっています。そして、この扉の先がお店です」


 スライド式の扉を開けると、雑貨屋さんといった感じのお店だった。真正面は壁で窓がある。窓にはカーテンがかかっている。

 木製のカウンターがあり、カウンターの端にはレジが置いてある。

 あとは紙と鉛筆。羽ペンも置いてある。

 色々なものがあるのに、整頓されて散らかっているという感じではない。


「薬はこの棚です」


 薬はカウンターの内側にあった。四角い木枠の棚の中に、引き出しの箱が入っている。箱にはラベルが貼ってある。この国でよく使う言葉ではない文字だ。

 カウンターの向こう側にも棚があり、商品が置かれている。


「カウンターのこちら側にある薬は割と高価な薬ですね。あちら側にあるものは比較的安価なものです。冒険者などがよく買っていきますね。後、包帯やマジックバッグ、干し肉も置いてあります。商品も種類がかなり多いので覚えてください」

「はい」

「売り上げの集計はお店を閉めてから行います。在庫チェックは二週目の木の日と、月終わりの二回。月初めに集計表を提出します」

「……はい」


 なんか色々いっぱい言われて、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 最初の方に言われたことを忘れている気がする……。

 アライグマの名前はアルさんだということは覚えてるけど。


「通常の在庫チェックは月二回なのですが、毎日少しずつやって覚えましょう」

「はい」


 私にはもう、ハイ、しか言えない。


「これからお店をあけますが、最初は私のお手伝いをしてください。さて、リュウさんついてきてください」


 ステラさんがカウンターから出るので一緒についていく。

 カウンターは一部机の部分が上に開くタイプ。開くところの床に青色のマットが敷かれている。

 お店の入り口は左側。ドアを開くと小さなスペースがあり、そこにドアが二つ。

 確か、このお店の両隣には建物があったはず。一つのドアの先は壁のはず。しかし、小さなスペースにはお店が開いていることを意味するプレートが二つ。

 不思議に思っていると、一つの扉を開ける。

 私の知っている道がそこにあった。

 ステラさんはプレートをドアにセッティングして、扉を閉めた。

 続いても一つの扉を開ける。

 そこは壁のはずだった。壁のはずだったのに知らない街並みがある。


「あら、ステラさん今から開店?」

「はい。今日から新しく人を雇いまして、午前中は説明をしてました」

「そうだったの。あら、そちらの子が?」

「ええ」


 優しそうなふっくらした女性が私を見る。

 パニックになりつつも、ぺこりを頭を下げた。


「あらあら、緊張しているのかしらね。またあとでお店へ行くわ。ダダルがそろそろなくなるから用意しておいてくれる?」

「わかりました。二束でよろしいですか?」

「三束にしておいていただける?最近少し流行り出したから」

「了解しました」


 女性はステラさんに伝えると、そのまま歩いて行った。

 来ている服は上等な服だった気がする。

 プレートをセッティングすると扉を閉める。


「……あの……そこは、壁では……?」


 ステラさんが一瞬きょとんとしてから、ああ、と声を出す。


「お店を開きましたし、中で話をしましょう。お客様が着たら邪魔になってしまうわ」

「はい」


 促されて、カウンターの内側へ。


「さて、リュウさん、先ほどの扉だけれど」

「このお店の両側には建物が建っていたと思うのですが」

「街ではその通りです」

「街では?」

「一つは城壁の町の扉です。もう一つは空島への扉です」

「空島!?」

「はい。先ほど声をかけて下さった方は、空島で診療所を旦那様と経営しているダリアさんです。このお店は両方につながってます。あともう一か所繋がってる場所があるのですが……リュウさん大丈夫ですか?」


 いっぱいいっぱいだった。

 お試し期間だけど職場が決まった。喜ぶ前に仕事の話に、金額の話。その後広いこの家を案内されて、お店の説明に、空島にもつながっている?どういうこと?


「……ダメそうですね。私も最初聞いた時はビックリしましたし。

 お店のベースは城壁の街ですよ。窓から見える景色は城壁の街並みです。空島に続く扉はあそこだけです。

 もう少し詳しく話そうかと思いましたが、少し色々一気に説明しすぎてしまいましたか?」


 首を上下に振る。


「またあらためて話しましょう。このラベルの文字は読めますか?」

「それは読めます」

「では、ダリアさんに頼まれたダダルを三束持ってきてください。ダダルは後ろの在庫室に入っています」

「わかりました」


 ちょっとフラッとした足取りで、在庫室に。


 ひとまずはステラさんに言われたことをしよう。

 まだ初日、何がわからないのかもわからない状態だし!

 ステラさんも丁寧に教えてくれるし!


 一番初めのステラさんはすごく嫌な感じがしていたけど、書斎を片づけてた時もちょっとわからないことがあって聞いたら教えてくれたし、お昼も私の分作ってくれるし、遅くなれば呼びに来てくれた。

 むしろ初対面の時のあれはいったいなんなんだったんだろうって思わずにはいられない。

 と、考えることはいつもできる。

 探して持っていかなきゃ。


 在庫室は少し薄暗かったけど、ラベルの文字はしっかりと読めた。

 棚には箱が敷き詰めておいてあり、その中の一つにダダルと書かれたラベルがあったので、箱を取り出す。

 箱の中には万能ねぎのようなものが入っていた。持ち上げると、10本で一括りにされている。それを三束持ち出す。

 箱は元の位置に戻し、店頭へと行く。


 店頭ではステラさんが接客をしていた。

 冒険者のようで、中級ポーションを買っていったようだ。

 それから、ちらほらとお客さんが着て商品を買っていく。ほとんどが冒険者でポーションと干し肉を買っていった。

 お客さんが途切れた合間に、ダダルをステラさんに渡し、私は商品と効能の書いた紙を渡され、それを見ながら覚えていく。

 お客さんの中には常連の人もいて、ステラさんに紹介してもらったりしてた。


 あっという間に午後が終わった。

 午前中お店をあけなかったためか、午後の小休憩はなかった。


 戸締りをして、店主さんに挨拶をしてお店を出た。

 ステラさんは空島に住んでいるので私が出た後に出るという。

 なんか、それもよくわからない。


 明日はステラさんも休みなので、私も休みになった。

 土の日はステラさんは休みなのだという。土の日は店主さんが店頭で接客するらしい。




 家に帰って、姉ちゃんと兄ちゃんとリョウに仕事の話をした。

 仕事が決まって喜んでくれた。

 リョウが寝てから、姉ちゃんと兄ちゃんに給料の話をしたら、金額分がんばれと励まされた。


 何となく、空島にも繋がってるお店だとは言えなかった。

 後、アルさんの事も。

 何を言っていいのか、何を言ってはダメなのか、明後日確認しなきゃ。


 布団に入って目をつぶるがすぐには寝つけなかった。

 少しテンションが上がってるのかもしれない。

 なかなか寝付けなかったのだけれど、気付けば私は寝ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ